2006年度 事業報告書

自2006年4月01日 至2007年3月31日

特定非営利活動法人 野菜と文化のフォーラム

1.事業の成果

 各事業とも計画通り実行することができたが、その中でも特筆すべきは、農水省支援事業として本会の野菜ブランド化推進事業が採択されたことである。健康と野菜を巡る情報が多方面から発信されている中で、本会のまず食べ比べることから野菜品質を研究するという長年の活動実績が評価されたことにほかならず、助成のおかげで、かねてから念願であったおいしい野菜の科学的調査研究に着手し、有意義な情報を多々得ることができた。また、これまでの活動で蓄積した食べ比べに関する大量な情報をCD版にまとめ、野菜品質研究のヒントになるようにと公表した。ホームページも情報発信の一翼を担うべく充実を図った。

2.事業の実施に関する事項

@ 特定非営利活動に関する事業
事業名
事業内容
実施日時
実施場所
従事者の人数
受益対象者
参加人数
支出金額
(千円)
(1) 野菜に関する
調査研究事業
野菜のおいしさ
調査研究
通年 東京都内

本会13名
他17名

一般市民
10,082
(2) 野菜の生産・
流通・消費等に
関する
情報収集事業
勉強会 通年 築地(株)
朝日エル会議室
3名
一般市民および会員
会員他延 256名
45
産地見学会
(にんじん他)
2006.11.28 千葉県山武郡
芝山地区
3名
一般市民および会員
会員他 17名
76
地方野菜
視察研修
2007.2.3〜
2007.2.4
沖縄県
4名
一般市民および会員
会員他22名
1,393
(3) 講演会・
ホームページ・
出版等による
野菜に関する
啓発事業
総会セミナー 2006.4.25 大手町
JA全農会議室
5名
一般市民および会員
会員44名 一般75名
250
野菜の学校
2006
2006.4〜5月 秋葉原 青果物
協業協同組合
10名
一般市民および会員
会員他延 55名
369
ホウレンソウ
フォーラム
2006.7.12 香川綾
記念センター
5名
一般市民および会員
会員47名一般84名7社
545
有名野菜品種
特性研究会
2006.10.12 女子栄養大
駒込小講堂
6名
一般市民および会員
会員51名一般57名9社
150
識菜会CD
制作販売
通年 事務局
3名
一般市民および会員
会員他 30名
219
野菜の学校
2007
2007.3〜 秋葉原 青果物
協業協同組合
12名
2007.4月開校予定
一般・会員対象40名   
-
ホームページに
よる啓発
通年 事務局
8名
一般市民および会員
訪問者延 5,291名
151
A 収益事業 なし
1)野菜に関する調査研究事業の概要
@野菜のおいしさ調査研究(農林水産省受託事業)
 従来から本会活動は野菜の品質情報の発信に努めて来ましたが、本会の規模では制約がありました。今期初めに農林水産省の「農業知識集約型産業創造対策事業提案応募」に申請し、採択された結果、野菜の品質に関する科学的な研究に参画することができ、報告できますことは、公的な団体として認知されたものとして会員の皆様と共に喜びたいと思います。
(野菜ブランド化推進調査事業)
2)野菜の生産・流通・消費に関する情報収集事業の概要
@会員による「親睦・勉強会」(継続事業)
 会員相互の資質向上および一般市民との情報交換・親睦を図るため、会員を講師として「勉強会」を開催しています。様々な分野からの話題で、質疑応答も活発で中身の濃い「勉強会」となっています。会員朝日エル様の会議室をご厚意でお貸しいただき、毎回20名以上の会として定着しました。
A産地見学会(ニンジンほか)
 10月上旬にニンジン食べ比べを行い、実際の栽培状況を視察する目的で、11月28日に千葉県会員の圃場を見学しました。おいしいニンジンを生産するための播種期、前作や肥培管理などのこだわりを伺い、色鮮やかで香りや甘みが強く、栽培環境が品質に大きく影響することを実感しました。
B地方野菜研修会 「沖縄の地方野菜を学ぶ」
 2月3〜4日の日程で企画しました。沖縄には島特有の野菜があり、レシピも含め大変興味が深かいものがありました。沖縄伝統料理は地産の食材を巧みに利用したもので、かって長寿日本一を支えた料理ということが納得できました。サヤインゲンやゴーヤー、ニンジンの栽培視察等、また、花と食のフェスティバル会場では県内の様々な農産物等の展示や販売があり見聞を大いに広めることができました。
3)講演会・ホームページ・出版による野菜啓発事業の概要
@総会セミナー「野菜の品種分化について」
 4月25日実施。野菜のおいしさを決める原点とも言うべき「野菜の品種」について藤枝國光氏に学びました。「園芸学は品種の学問である」を持論とする氏に、品種開発のプロセスと課題について、キュウリ、ニガウリ、パプリカ、ネギ、ダイコンを例に講義していただきました。今話題に上がっている野菜品種の用途別需要・機能性の問題等々、これからの野菜問題を平易に解説していただきました。
A野菜の学校2006 、2007(継続事業)
 野菜の学校は、2006年5月に終了しましたが、再開を望む声が多く寄せられことから、
8月より準備委員会を設立し2007年4月開講に向けて、準備を開始しました。
1月に1品目の重要野菜をテーマとして掘り下げ、併せて旬の野菜の試食も行ない、実際に食べておいしさを確認することとしました。年間11回の予定で講師は、それぞれのテーマ野菜の育種や栽培に、携わった、または現在携わっている、当フォーラム会員がボランティアでつとめることとなりました。
Bホウレンソウフォーラム2006
 7月12日開催。ホウレンソウはミネラルやビタミン類が豊富な野菜として認識されていますが、一方で蓚酸や硝酸が含まれ結石等の原因物質を保有する指摘があります。これらの含量を少なくする、あるいはよりおいしさを追求した寒締めホウレンソウについての品種や栽培法について情報を得ました。また、パネラーによりスーパー、レストラン、学校給食などへ消費拡大のための提言をいただきました。
C有名野菜品種特性研究会
 国産のニンジンとカボチャの数品種について品質、食味、生産性について検討し、消費の拡大を図る目的で10月12日に開催しました。供試野菜は主要な出荷期を迎える北海道産に限定し、ニンジンは生と洋風・和風煮の評価で、カボチャは蒸し煮の評価で男女別、年齢階層別、経歴別にアンケート結果をまとめ、併せて食味調査法に関する基礎的資料を得ようとしました。
D識菜会業績集(野菜食べ比べ)CD版制作販売
 CDには、本会の江澤 正平、荒井 慶子両氏らを中心として活動した識菜会の1992年から11年間にわたる活動が収録されています。国内で作られ、流通し、食されている基本的な野菜50品目余、970種類以上を食べ比べた記録で、野菜を食べて比べるという考えがまだ一般的でなかった時代からの貴重な記録といえます。
E情報公開
 ホームページ:管理を10月下旬から会員に移管し、これを機に全体構成を見直し、情報を詳細、迅速に更新できるようになりました。情報公開はより多くの一般市民に、本会の説明責任を果たすことであり、本会活動の存続意義とその理解を深めていただくことであり、各事業に多くの参加者を迎えることができました。年度末の訪問者数は12,500件余で、本年度の増加数は約5,300件余で昨年度の2.5倍に達しました。
 講師派遣・記事の投稿・掲載記事・取材等:本会の肩書きでの講師派遣、投稿、取材、新聞掲載記事も増加し、本会活動が広く一般に認められてきた証と思います。

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