はじめに

 

 新年度スタートにあたり、改めて1988年3月3日の当フォーラムの設立総会を記憶したい。当時はバブル経済の最盛期だった。それからほぼ20年後の昨2011年3月11日。忘れることができない東日本大震災と福島原発事故である。しかも出口のないデフレ経済のなかである。

 これまでの23年間、野菜を巡る環境は激変した。国産野菜振興の諸施策にも拘わらず、輸入野菜に押され、自給率81%(2010年速報)である。

 当フォーラムは設立以来、「安全でおいしい野菜」、「適切な用途と調理法」を掲げて活動してきた。全国各地にあまねく四季を通じて、元気な野菜産地と野菜生産者が健在なこと、さらに適切に流通できる仕組みがあってのことだ。創立者の故江澤正平さんを始め多くの会員は全国各地の生産者を訪ね、共に希望を語り、現在に至った。

 さて、2012年1月からの理事会では、新年度方針を練り上げ、以下の視点を大事にすることを確認した。
(1)消費者が望むフォーラムへの期待は何かを掴もう
(2)海外から見る目。そこに日本の野菜の力があるはずだ
(3)野菜の安全性問題が新たな段階に入ったことを確認しよう
(4)法人会員が期待するものは何か。それに応える企画をどんどん具体化しよう

 すでに4年にわたった農林水産省補助事業により公表された『野菜のおいしさ検討部会報告書』は大きな問題提起だった。それを踏まえ、ここ2〜3年、多様な活動に入ってきたのだった。

 一方、昨年の東日本大震災によって、一時は活動の余裕すらなかった。そこから、立ち上がってきた会員諸氏の敬意を表したい。改めてお見舞いを申し上げたい。

 当フォーラムは新年度も、従来以上に「野菜のおいしさ、安全な野菜、伝統的野菜と文化の関係追求」、「野菜の学校」、「地方野菜視察研究会」、「先進地見学会」など、事業を展開し、会員相互の期待に応えたい。またNPO組織として定例理事会を充実し、会員の一層の拡大に努力したい。このため新年度は理事執行体制を一新したい。元々理事会と一般会員に高い壁があるわけではない。フォーラム活動も理事会も、楽しく生き生きしたものでありたい。

 なお、すでに編集作業を始めている「フォーラム20年史」を本年度中に完成し、会員の皆さんに届けたい。

 どうか、会員諸氏の一層の活動参加を期待します。

                              2012年5月30日
特定非営利活動法人 野菜と文化のフォーラム
理事長  今野 聰

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