●JA全農青果センター東京センター見学会報告●
【見学目的】
グループ全体で約1.500億円と大規模な消費材の開発、仕入れ、物流、検査などを行っているセンターのひとつ、東京青果センター東京センターの業務内容・施設の見学会を企画。8年前にチルドセンターを完成し、青果物等の産地および消費者への対応、検査、仕分け・パッキングシステムなどがみどころです。
【場所】
JA全農青果センター(株)東京センター「生活クラブ事業グループ」
住所:埼玉県戸田市美女木1141
【日時】
2010年2月16日(火) 13時30分〜17時30分
【参加者】
30名(会員のみ/種苗関係・青果流通・生産者・一般ほか)
<報告>
 寒い日で、しかも、地図を戴いたものの始めての所で、北戸田駅でうろうろしていたところ皆さんとお会いでき一緒にタクシーで行きました。

 私は25年来、生活クラブの会員で、ほとんどの食材を賄っています。しかし、あまり現場を見たことはなく知識はもっぱら機関紙「生活と自治」からです。なぜ生クラかといえば、国産品を大切にしていることもその理由のひとつ。見学会の案内を見て、どうやら生クラの青果物を扱っているらしい…と、もっぱら個人的な動機から参加しました。目はどうしても個人的な関心へ偏りがちでしたが、日本農業の発展、安全・安心への志向、価格形成のあり方、合理化された近代的なシステムなど、改めて認識できた見学でした。

●センターの概要
 戴いたパンフッレトによると昭和43年に開業、平成14年に現在の所に移転し、低温管理により鮮度管理システムを導入した市場外流通のパイオニアです。北海道から四国、九州など全国から品物が集まり、売上高は平成21年度を見ると800億円です。取引先は生協が53.5%、スーパーが32.8%、その他中卸・市場などです。主な商品は野菜ではトマトが最も多く、次がたまねぎ、きゅうりと続いて全部で10品目。果物はいちごがトップでみかん、りんごなど10品目です。


JA全農青果センター東京センター

●巨大な施設
 まず始めに映像で施設の説明を受け、いよいよ現場見学です。入荷、出庫バースは荷物の種類別に分かれ、トッラクが目的の場所へ入ります。ちなみに、この日の作業はすべて完了しており、見学しやすかったです。

 続いて保管冷蔵庫へ。とてつもなく大きく、加工食品のそれと同じように品目別に並べられたものを自動的に出し入れし、人はコンプターを操作するだけです。入ってみると、温度管理は5℃、10℃とエチレンガス除去に分けて行っていて、立体的に装置が集約されていました。最後は寒くなりました。私たちも野菜を冷蔵庫へ入れて保管したりしますから、家庭の冷蔵庫と同じ…というわけです。

 セットセンター、包装加工場も見ました。箱に詰められ、バラで集荷するだけでなく、生産地から来たものをここで消費者パックに小分け包装して店舗へ配送されるものもあります。スーパーなど現地でパッケージするより効率的な場合はここで小分けして出苛されます。包装加工工場は、場内・場外合わせて13あり、そこで働くパートさんは600人で、1日の生産数は30万点だそうです。私たちが見た時も多くの女性パートさんが働いていました。

 中にはジャガイモの芽を取って袋詰めしているところもありました。士幌農場のように放射線照射しない限りジャガイモは芽が出ます。私たちは芽が出ると台所でとって調理しますが、芽が出たものを店頭に並べるわけにもいかず、ここで取っているのでしょう。

 生産者から来るものはお芋でも大小さまざまです。それをここで取り混ぜて一定の目方にし、1袋にしてから出荷されるのです。消費者にとって不揃いはむしろ歓迎なのですが…。てっきり店舗での作業だと思っていましたが、センターでここまでやっているとは驚きました。包装加工する場合でも、生産から店舗まで約24時間だそうです。

 


1F入荷バース


立体冷蔵倉庫


3F出庫バース(約8,000アイテム数)


ジャガイモの芽除去作業

●目の回るような作業
 続いてセットセンターへ。生活クラブでは班全員の注文品が1袋に入って届きます。それを班到着後個人別に分けるのですが、ここで班別に袋へ入れられるとは想像もしていませんでした。通路のような場所の両脇に品物が並び、スイッチが点灯します。その指示に従って人が流れてきた袋の中へ商品を次々に入れていきます。文字では説明しにくく、百聞は一見にしかず、でしょう。この目の回るような作業は、見なければ分からないと思います。私のこれまでの経験では、宅配された時に間違っていたことはありません。班ごとの注文品が集計されてコンピューターに入れられているのでしょう。てっきり生協の施設で、目視で分けられると思っていたので、改めてコンピューターの威力に感心するやら驚くやら…でした。


生活クラブ仕分け作業9万件/日の能力

 生クラ用の専用の倉庫もあり、大きな銀色の配送用パッケージ箱が積まれていました。生クラは全国規模ですから、それは壮大な量でした。

 聞いてみると生クラの青果物の90%はここから、そのうち60〜70%はここで小分けされるとのことです。4週間前には産地と価格を決定し、それが注文用パンフレットに掲載されると聞いて納得しました。個別の仕分け能力は9万件/日で、1週間に45万件できるようです。

●国産品が中心
 事業の基本理念に「日本農業を守り発展させる立場から国産青果物の生産・販売の維持拡大に貢献するとともに、消費者・取引先に安全・安心な農産物を提供する役割・使
命を担っています」、とありました。したがって、国内産が中心であるが輸入品は国内産が厳しい品目や端境期にとどめているとのこと。安全性については、生産現地出荷までのトレースに留まるが、依頼があれば残留農薬の検査も行うということです。

 市場経由と異なり卸と中卸の機能を備えているので、売り場の要望などをダイレクトに生産者へつなぐこともできる、とのことでした。

 私は国産品を採用していることを中心に生クラの会員を続けていると述べましたが、今回の見学で現場も見ることができ、大変有意義でした。多くの消費者がもっと生産や流通の現場を見ることができるといいと思います。

(文責 伊藤 康江)

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