まずは、菜園の概略から。大手トマト加工メーカーであるカゴメ(株)は1998年から生食用トマト事業に乗り出し、茨城、広島、高知、千葉などに大規模な菜園を作ってきましたが、2004年2月、6番目に誕生させたのが、このいわき市小名浜の大規模ハイテク菜園です。いわき市は、年間日照時間が2000時間以上と長く、かつ1年を通して寒暖の差が比較的少ないなどトマト栽培に最適な自然環境を備え、また東京や仙台などの大消費地に近いという利点がありました。
菜園の規模は、総面積19,6ヘクタールと、東京ドーム4個分に相当する広大な敷地に4つの温室、つまり東京ドームが温室になって4つ連なっているところを想像すれば、広さのイメージがつかめるかもしれません。室内の移動は自転車で、それでも4〜5分はかかるとか。栽培されるトマトは約25万株。養液栽培による菜園としては東洋一の規模を誇ります。
初年度は業務用に果肉がしっかりしたカゴメデリカトマトを出荷し、現在は3作目。栽培品種はカゴメオリジナルで、デリカトマトの他、ラウンドトマト、プラムトマト、キッズチェリー、高リコピントマトなど7種に及びます。いずれも、「コク」があって「実」がしっかりしているところから、ブランド名は「こくみトマト」。そしてこのトマトのこだわりは、「安全・安心」「高品質・高収量」「環境保護」。こだわりを支える栽培システムが、まさにいわき小名浜菜園の特長で、それを私たちはつぶさに見学することになりました。
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