● 「地方野菜研修会・仙台」のご報告 ●

【日程】
2010年11月29日(月)〜11月30日(火)
【参加者】
18名
<報告>
 野菜と文化のフォーラム主催、現地に出かけて学ぶ地方野菜研修会もすっかり恒例となりました。今回は、宮城県栗原市にある(株)渡辺採種場瀬峰研究農場を訪問。本会会員である渡辺頴悦氏のご協力で実現しました。

 平成22年11月29日、東北新幹線・古川駅に集合し、マイクロバスにて出発。途中、夏秋パプリカ養液栽培のグラスハウスの車窓見学をしながら瀬峰研究農場に向かいました。雨水を利用、屋根は二重構造にして暖房費をかけず、培地にはピートを用い、資材も安くあげたエコ循環型栽培で、現在はパプリカ栽培全国11位だそうですが、来年度は1位を目指す、との説明がありました。ツアーを通して案内して下さったのは (株)渡辺採種所の渡辺憲明氏です。


 瀬峰研究農場に着くと渡辺頴悦氏がにこやかに出迎えて下さり、ご挨拶も早々に農場見学開始です。圃場に一歩入り見渡すと、野菜たちが美しい!と、思わず感嘆の声。白菜の畝に進むと白菜がすぱっと割って用意してありました。黄愛65の一片を口に含むとシャキシャキとした歯触りも心地よく、みずみずしい甘さが広がりました。最近は黄芯系が好まれること、作りやすさ、耐病性、収穫日数の違い等説明を伺っていると、味に違いがあるか実際に試そうと黄愛75、黄皇と次々に割って試食させてくださいました。カブ、ネギ、玉ネギ、キャベツ、ナス、大根、シュンギク、ホウレンソウなどの畑とトマトのハウスも見学しました。

 その中でも圧巻だったのは、実験圃場です。毎年テーマを決めて実施され、今年は宮城県近辺(東北・北陸)の伝統青菜でした。その数、なんと22種。見学の後、この青菜類の食べくらべをする貴重な機会に恵まれました。同じ圃場の同じ条件で栽培され、同じ日に収穫された青菜が一同に並べられた会場に入った時は迫力に圧倒されました。全種類、茹でたものを用意して下さり、茎が甘かったり、葉に辛味があったり、青臭さが口いっぱいに広がったり…。葉の厚さ、茎の柔らかさなどの食感、香りなども、それぞれに個性があって微妙に違い驚きの体験でした。煮物、浸し、炒め、酢の物、漬物用と用途も広く、伝統野菜がもっと活用されることを願います。


ちぢみ雪菜

仙台芭蕉菜

仙台雪菜

信夫冬菜

吹き立菜

大崎菜

小瀬菜大根

山形せいさい
(広茎青菜)

新川流れ菜

新潟小松菜

真菜

紫おり菜

縮緬かぶれ菜

縮緬五月菜

茎立ち菜

荒久田くきたち菜

雪白体菜



 生食でおいしい美男茄子、ウルウルして艶があり柔らかいので直売所におすすめのプチぷよ(ミニトマト)、育種者が自らの名前を冠した自信作、Mr浅野のけっさくトマト(ミディトマト)、ほくほくのダークホース(かぼちゃ)の試食もありました。充実した見学と試食と食べくらべ、(株)渡辺採種場のみなさま、ありがとうございました。


 東京では台風が接近との天気予報でしたが、仙台地方は西の空に壮大な夕焼けが広がる中、宿舎に向かいました。旧伊達藩邸鐘景閣の前にある温泉宿、「茂庭荘」です。夕食は鐘景閣にて伝統の仙台箪笥に納めた懐石料理をいただきました。山葡萄酒に始まる宮城県自慢の郷土の幸がふんだんに盛られ、堪能しました。

 翌30日はニッカウヰスキー仙台工場の見学を皮切りに、朝からほろ酔い気分でバスツアーです。

 仙台伝統野菜復活に向けた"仙台伝統野菜生産振興会"で活動されている農業者グループの方の仙台市近郊の白菜畑を見学。

 その後、伝統野菜を使った農家レストラン、「もろや」にて昼食をとりました。田んぼの端っこに位置する普通の民家の居間で出されたお料理はとびきり上等で野菜の滋味が溢れ、至福の時を過ごしました。


 午後は仙台市園芸センターの見学や、鐘埼かまぼこにて笹蒲鉾焼きを体験。締めくくりは仙台伝統野菜を販売している、仙台駅前の仙台朝市通りで買い物です。青果の八百庄さんでは蔵王の里芋を茹でて待っていて下さり、熱々の里芋の皮をくるりと剥いて試食しました。心もお腹も満腹、大いに学びかつ楽しんだ2日間でした。参加者は18名。みなさまのご協力に感謝です。

(文責 領家 彰子)

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