タイトル<野菜の学校>
● 2009年度「野菜の学校」 ●
- 2009年5月授業のレポート -
開催日: 2009年5月9日(土) 会場:東京都青果物商業協同組合会議室

◆テーマ野菜:キャベツ ◆旬野菜:グリーンピース

【講義】
(1)
キャベツの歴史、品種、生育、作型など
日本農林社 カンラン育種担当 宮崎俊夫氏
(2)
栄養、調理保存
M-cooking-studio 松村眞由子氏
(3)
市場情報、出品品目紹介
東京青果(株) 澤田勇治氏
【講義より】
 キャベツの野生種は不結球で、いまだに地中海、欧州の西海岸に自生している。これらを元にして、なんと、紀元前後に欧州南部で結球性のキャベツが成立し、各地へ広まったと考えられているとのこと。日本へは江戸時代末期から明治初期にかけて導入され、外国人居留地で栽培されていただけだったが、明治以降次第に普及し、一般的な野菜となっていった。各地での栽培の様子が、愛知県、長野県、千葉県などを例に紹介されました。
 栄養・保存・調理のお話は松村真由子氏の担当です。なぜ、キャベツのことをカンランと呼ぶかを栄養面から説明、果糖、ブドウ糖、ショ糖などを含み甘く感じるので「甘藍」というとのこと、謎が解けました。ビタミンU(キャベジン)の効果を期待するなら、生食か、煮汁ごと利用できる料理がおすすめ…など、15分と時間は短いのですが、栄養から保存、選び方、料理まで、びっしりと内容の濃いお話でした。
 品目紹介は今年のキャベツの作柄状況を皮切りに、各産地の特徴や、半割したキャベツを手にとって花蕾の見分け方まで学びました。旬の食材はグリーンピースで、特に「うすい」は関東の市場では入手しづらく、特別に取り寄せたので、ぜひ味わっていただきたいとのこと。試食に期待感があふれました。
【食べ比べ】キャベツ2品目(生食・塩もみ・スープ煮) 試食:スープ煮2品目 出品:11品目

 キャベツの食べ比べは、冬キャベツとして中早生系の愛知県産と、春キャベツは神奈川県三浦産を試料としました。今年は暖冬で生産が早まり、冬系の特徴がはっきりとしたキャベツは手に入りづらい時期となっていました。当初、春系と特徴の差が出ないかと危ぶみましたが、調理をしている段階で、刻み・煮る・塩もみ、各料理において差が明らかとなりました。食べ比べ後の感想も春系と冬系の特徴を踏まえてのものが多く聞かれ、食べ比べの成果がありました。
 スープ煮は、普段名前だけはよく聞いているサボイキャベツと、黒キャベツといわれているカーボロネロを試食しました。初めての人も多く、貴重な食体験になったとの感想も寄せられました。
 一時期は生産が多かったのですが、今ではあまりスーパーの棚で見かけなくなった、グリーンボールも生食しました。球の中まで緑色を帯び、葉がやわらかいのが特徴です。
 その他、中早生の愛知県産、千葉県産、色の異なる紫キャベツを生食で。キャベツの仲間で、わき芽を食べる芽キャベツと、茎を食べるコールラビは展示のみ。キャベツの系統図を見ると、野生種のケールから発していますが、そのケールの展示もありました。紫と緑の葉があり、園芸研究家の御倉さんの畑からの出品でした。

冬系(中早生) 愛知県
春系 神奈川県三浦
カーボロネロ
ちぢれ葉のケール
サボイキャベツ オーストラリア
【旬野菜:グリーンピース】
 いろいろな野菜が一年中出回るようになりましたが、サヤ付きのグリーンピースは、この時期だけの旬野菜です。塩を入れただけのシンプルな炊き込みご飯で試食しました。
 試食は、右下の写真のように、各自が大皿に取り分けて行います。番号を書いたり、いろいろと工夫をして、味わいながら、みなさん真剣に取り組んでいました。
うすい 和歌山
ピース 鹿児島
 
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