タイトル<野菜の学校>
● 2009年度「野菜の学校」 ●
- 2009年7月授業のレポート -
開催日: 2009年7月4日(土) 会場:東京都青果物商業協同組合会議室

◆テーマ野菜:なす  ◆旬野菜:とうもろこし

【講義】
(1)
野菜の現状とナスの需給動向
野菜と文化のフォーラム 副理事長
野菜の学校 校長  大澤 敬之氏
(2)
最近の野菜育種研究の成果例
塩野谷農業協同組合 企画管理部 企画広報課(前 営農部園芸課長)  村上 守氏
(3)
栄養、調理保存
M-cooking-studio 松村眞由子氏
(4)
市場情報、出品品目紹介
東京青果(株) 澤田勇治氏
【講義より】
 野菜の学校校長、大澤敬之氏から、最近の野菜の現状として、野菜の作付面積、生産量はともに減少傾向にあり、しかも農業従事者の減少、高齢化が進行しており、65歳以上の従事者が約4割を占めるというお話がありました。野菜消費量も減少傾向にあり、世代別摂取量は野菜摂取目標量の350gを下回り、特に若年層において不足している、とのこと。今回のテーマ野菜である「なす」は、小学生の嫌いな食べ物の第3位で、野菜の中では2位だそうです。野菜の消費拡大対策、輸入状況の説明のあと、なす全般について、引き続きプロジェクターを使ってご説明してくださいました。
 また、塩野谷農業協同組合の村上守氏から、受粉や植物ホルモン処理なしでも実がつく単為結果性のなす「あのみのり」の開発と、温泉を利用して作る燃料いらずの「温泉なす」のお話をうかがいました。
【食べ比べ】 なす4品目:生食、なす4品目:たて塩、なす3品目:焼き、なす試食各1品目:オイル焼き・塩漬け・オイスター煮

 食べ比べをするにあたり、なすの品種、産地、料理方法は何を選べばよいのか、検討しました。なすが日本に伝わったのは8世紀頃で、地方によってさまざまな品種が分化しました。九州の長なす、東日本の短形なす、日本海側の丸なす、東北の小なすなど、形はさまざまです。なすは貯蔵性に乏しく、地方独特の食べ方がされてきました。現在、主に流通しているのは、作りやすさと流通のしやすさから、長卵〜中長の品種です。食べ比べには、私たちが普段よく買っている品種を選びました。調理の面からは、焼きなすを、万能向きのなすと、焼きなすに向いているといわれているなすで作り、食べ比べることにしました。また、最近人気の生食用なすの食べ比べは、たて塩(7%食塩水)で行いました。

(1)千両2号:長卵型。関東では代表的な品種。料理は万能。 (2)式部:長卵型。千両2号より比較的低温に強い。 (3)あのみのり:単為結果性なす。無種子。 (4)筑陽:長なすの代表的品種。九州が主だが、夏場は関東にも出回る。
(1)千両2号
[栃木県]
(2)式部
[群馬県]
(3)あのみのり
[栃木県]
(4)筑陽
[茨城県]
(5)さしみサラダナス:生食用F1。 (6)泉州水なす:岸和田の特産野菜。 (7)サラダ紫:神奈川県農業技術センター開発F1。 (8)絹皮なす:賀茂なすを品種改良、愛媛西条の特産品。形状は米ナス似。 ※(5)〜(8)を生食(たて塩)にて食べ比べ。
(5)さしみサラダなす
[岩手県]
(6)泉州水なす
[大阪府]
(7)サラダ紫
[神奈川県]
(8)絹皮なす
[愛媛県]

黒紫
[熊本県]

今回は全18品目が集まりました。大きさは30gくらいの蔵王サファイアから絹皮なすの約450gまで。また、全くアントシアニンが形成されない白なすから真黒という名の真っ黒いなすまで集まりました。真黒なすは埼玉県富士見市関野達生さんの畑から、イタリアの種を育てたシチリアなすは茨城県の後藤農園から届けられました。シチリアなすはオリーブオイル焼きで試食。たくさん食べられるなす料理は松村さんが自ら調理してくださり、式部を使ったオイスター煮をおいしくいただきました。


丸なす
[奈良県]

十全なす
[新潟県]

シチリアなす
[茨城県]

真黒なす
[埼玉県]
【旬の食材:とうもろこし】
 以下の3品目を蒸して試食しました。
ゴールドラッシュ
[山梨県]
ピュアホワイト
[熊本県]
ウッディコーン
[山梨県]
 
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