タイトル<野菜の学校>
● 2009年度「野菜の学校」 ●
- 2010年3月修了式のレポート -
開催日: 2010年3月6日(土) 会場:東京都青果物商業協同組合会議室
【修了式】
挨拶

NPO法人 野菜と文化のフォーラム
名誉理事長 鈴木 康司

修了書授与

野菜の学校 校長 大澤 敬之

【記念講演】

大地を守る会 長谷川 満氏

【野菜紹介】

東京青果株式会社 澤田 勇治氏

【修了式より】
 2009年4月から毎月第1土曜日に開催してきた「野菜の学校2009」は、この日で10回目。めでたく修了式を迎えました。

 2009年度のテーマ野菜は、4月のトマトに始まり、キャベツ、キュウリ、ナス、ピーマン、ジャガイモ、ニンジン、ネギ、ダイコンの9品目。旬野菜の新玉ネギ、グリーンピース、梅、トウモロコシ、キノコ、もやし、親芋、シュンギクと合わせ、全18品目を取り上げました。

 会場は若干狭かったのですが、毎回実施したアンケートの結果を運営にできるだけ反映させるようにしてきました。その結果かどうかは分かりませんが、生徒数50名のところ、修了者(8回以上出席)は30名、そのうち10名が皆勤賞と盛況でした。

 鈴木康司名誉理事長から、「野菜と文化のフォーラム」の活動内容、NPO法人となった経緯、野菜を“植物・食べ物・商品”の面から正しく理解するために始まった「野菜の学校」の目的について、今に至る経緯などをお話いただき、修了式に移りました。

 修了者のみなさんには、大澤敬之学校長から修了書と副賞が贈られました。副賞は、皆勤賞がキャベツのスタンプを押した布製マイバッグ(A3版)と「せとか」、修了者にはレンコンのスタンプを押した布製マイバッグ(A4版)と「金柑」。その他、各企業からご提供いただいたタオルハンカチ、ピーラー、マウスパッドなど、さまざまなグッズもありました。バッグに押した野菜スタンプは、スタッフである御倉多公子さんの制作。みなさん、和やかな笑顔で修了書を受け取っていました。

 

【記念講演より】

 長谷川満さんは、(株)大地を守る会とNGO大地の会の活動をしながら、週末は故郷である秩父市荒川村で農業を営んでいらっしゃいます。

 野菜・果物を扱っていると、その時期にしかないものがたくさんあるため、季節感を実感し、見ているだけでも生命力を感じる。野菜の生育のリズムには、変化の歓びがある。食という字は「人を良くする」と書き、食べ物は「考える素材」としてとらえている。しかし、農業にそうした魅力があるにもかかわらず、高齢化が進んでいて、従事者の約半分が70歳以上。農水省は、10年後には生産力が25%落ちると算定している。今、農業ブームで若い人が農村に入って来ているが、まだまだ少なく、定年の人が入るケースが多い状況。消費の面からみると、総務省は、1人・2人所帯があわせて68%を超え、所帯が小さくなることで、野菜の消費量が減少、惣菜が伸びる傾向にある、としている。そうなるとカット野菜が増え、切ることで風味がなくなってしまう。また、野菜は全般的に大きいものがおいしいといわれるが、ミニ野菜になることで味が落ちる……など、今の農業が抱えている問題を、さまざまな面から例を挙げてお話しくださいました。

 暗い話題だけではなく、均一化した野菜に最近は多様化の兆しがみられ、通販や道の駅の消費が伸び、特徴ある個性的な野菜や地方で栽培されてきた伝統野菜・地方野菜が流通しだした、とのご報告もありました。

 

【パーティーより】

 修了式のあとは、恒例となった立食パーティーを開催しました。

 例会の食べ比べは、野菜本来の味や香り、風味を味わえる料理を選んでいますが、最終回は“野菜菓子”がテーマ。スタッフが創作した野菜のお菓子に、「おいしい!」「不思議!」「きれい!」「えー?これが!」など、さまざまな反応がありました。


大橋路子さんによる野菜カービング

蒸し野菜
(カラフルポテト)
焼き野菜
(島ニンジン・パースニップ)
生野菜
(黄カブ・紅芯大根)
松村眞由子さんによる
春菊&きんぴらクッキー
西川千栄さんによる
野菜
ぜりぃ
白戸啓子さんによる
ぬれ芋納豆
領家彰子さんによる
長芋スイーツ1
領家彰子さんによる
長芋スイーツ2
領家彰子さんによる
加賀レンコンのスイーツ
御倉多公子さんによる
トマトジュース
御倉多公子さんによる
野菜のディスプレイ1
御倉多公子さんによる
野菜のディスプレイ
2
 

 もうひとつ、恒例となったのが、受講生のみなさん全員による「30秒間スピーチ」です。その一部をご紹介します。

  • 秋田県の卸会社から来ています。たくさんの野菜を知ることができ、勉強になりました。(周囲から、「そんなに遠くから!」と、どよめきが起きました)

  • 石川県にある卸会社の東京駐在員をしており、野菜の学校で学んだことを現地のスタッフに還元してきました。

  • 農薬を作る会社に勤務しています。多種類の野菜を勉強し、品種・産地の違いを知りました。

  • 無農薬野菜を作っている農家です。野菜の味が違うのを発見し、販売時にお客さまに伝えることができました。

  • 野菜の学校に参加して、友達ができたことが嬉しいです。

  • 食べ比べのときに司会をされた山本謙治氏に「“おいしい”という言葉は使わないで」と提案され、どのような言葉を使って食べ物の味を表現すればいいか苦労しました。

 スピーチで全員の顔が見え、学ぶ場が交流の場へと広がり、賑やかに1年間の締めくくりができました。「また来期も…」との期待の声も聞かれ、次年度への励みとなりました。

 以上 2009年6月&9月 脇ひでみ記/その他の月 領家彰子記/写真 クサマヒサコ 

>>> 2009年度野菜の学校一覧へ