講師は女子栄養大学出版部勤務。昨年3月まで『栄養と料理』の編集長を務められた。当フォーラムの理事でもある。
『栄養と料理』の創刊は昭和10年。当時は、日本人の栄養不足にどう対処するかが、課題だった。同誌は「食生活を整えることで健康に」を当時より訴えていて、現在でも他のの料理本とは一線を画す姿勢を貫いている。
とはいえ、書店でも販売されている「雑誌」なので、時流に乗じた記事、あるいは少し時代を先取りしたトッピクス記事を掲載している。特にここ10年は、野菜を取り上げた記事が各号に出ているといって過言ではない。
三保谷氏が用意して下さったレジメ「10年間(95年から05年)に見る野菜・くだもの関連記事」を元に説明を受けたので、そのいくつかを披露すると…
「植物の色素成分ががんや老化を予防する」 99年02月
「なますの切り方」(キッチンサイエンス→科学的な記事は好評) 97年01月
「野菜を植物学的に分類すると特性が見えてくる」 01年08月
「ホワイトパワー…淡色野菜にも免疫効果を高める働きが」 02年03号
とかく緑黄色野菜の効能だけを考えがちであるが、野菜それぞれに優劣はなし。
「サプリメントは食事の代わりにならない」(食材を全体で取る大切さ) 03年06月
世の中の関心事が反映されるように、キャッチコピー(「血液サラサラ生活」など)が、いつも企画会議で話し合われている。読者の要望もあり、00年からはレシピの分量が4人分から2人分に変更されている。
想定される読者層−年齢30〜40代、子供がいて家族の健康を考える人としているが、栄養学を学んでいる若い学生や、数十年に渡って購読している人など、読者層が「掴みにくい」という話も。出席者の中には、以前集中的に購読する時期があって、「食生活チェックを受けたら高い評価を受けた」と述べた人がいた。
三保谷氏も「野菜料理は、(1)食事全体の食べ過ぎを防ぐ。(2)低エネルギーである。(3)ミネラルが豊富。」と話された。今後日本で「食育」を実践していくには「野菜を日常的に食べる」が重要課題になるだろう。雑誌「栄養と料理」が果たす役割が一層注目されると思われる。
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