1.マリ
北部はサハラ砂漠に覆われていて、千年の古都トゥンプクトゥーもその1/3が砂に埋もれている。基本的に野菜の産地ではなく、自給程度の野菜栽培しか見られない。国の中心を流れるニジェール川の河川敷が主要な野菜栽培地となっている。農業の主体は、穀類と豆類。ゴマが重要な輸出品。イネ(陸稲)が栽培されている。野菜は旧宗主国がフランスだったためフランス系と思われるものが多い。シャロットがフランスに輸出されている。市場ではトマト、ピーマン、ナス、キャベツなどが売られていた。
2.マダガスカル
インド洋の南西部の大きな島国。文化的にも東南アジアの片鱗を感じるもの(アウトリガーつきの小舟など)がある。植物、動物も固有のものが多い国であり、国の中央を走る高地のため、西部はかなり乾燥した地域である。米が主食の国であるが、自給率は30%を下回り、食料品の輸入も多い。農産品で有名はものはバニラ、世界中に輸出されている。農家単位で栽培されて、市場では「生」の状態で売られていた(生のまま買っても、あの芳醇な香りのバニラにはならない!)。野菜はかなり豊富に栽培されていて、特に葉菜類の種類は多い。旧宗主国フランス系の野菜がかなり見受けられた。牛の飼養が農業の基幹である。
3.ナイジェリア
農産物・畜産物は極めて豊かな国である。石油資源なども豊富であるが、道路整備などに財政が行き渡らず、物流・保存に関してはかなりのロスがあるよう。芦澤氏は、約1ヶ月の滞在で主にウリ科の植物の種を収集した。フルーテッド・ポンプキン(ヒダウリ)…30キロの実となり、数百個のダイフク餅のような種(食用になる。たんぱく質が豊富)をつける。サウマトココス…葉ランのような植物。地下茎で増える。果実の甘さは砂糖の数千倍といわれる。など、熱帯のナイジェリアならではの植物を紹介。外部に持ち出すと、栽培は困難、とのこと。ウリ類は非常に豊富な国ではあるが、主食はヤモイモとトウモロコシ、葉・根菜類は少ない。旧宗主国イギリスのものを中心にヨーロッパ系の野菜が見受けられた。
3カ国とも、一部日本の援助などで農業・植物の研究所が設置されているが、土地所有の概念が全く異なったり、流通に難があったり、富の配分が上手く行われない、など、アフリカ農業の抱える様々な問題を垣間見られたような気がした。
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