開催の目的
NPO法人野菜と文化のフォーラムは、最近の野菜は、まずくなった・食べ物の視点を忘れた流通規格・安全性の問題等々が指摘され出した世論をうけて、1988年設立以来、野菜を常に文化の視点から眺め、問題点の背景を探る各種の勉強会を続けて参りました。
その間大きく変わった事は、健康志向時代を迎え、安全性・おいしさ・栄養性・機能性に対する人々の関心が高まった事であります。これらの背景には、各種条件の複合的なものですが、その基本をなすものは品種にあると思われます。
そこで今期の総会にあたって、講師に藤枝國光氏をお迎えし、野菜品種に係わる問題を原点から勉強してみようと言う事になりました。日本の野菜のルーツを訪ねて野菜の今日的なあり方についてのご講演をお願いしました。氏は長年の研究活動の成果に各種の賞を受賞され、教育者として我が国の野菜品種改良に携わる多くの方を輩出し、その研究活動をまとめた著書を多数出されている野菜品種改良分野における第一人者です。
今話題に上がっている野菜品種の用途別需要・機能性の問題等々、これからの野菜問題を正しく理解する事に役立つ勉強会と致したく企画開催するものです。 |
講演要旨
野菜のさまざまな品種開発はなにをキーにして進められてきたか。「園芸学は品種の学問である」を持論とする氏に、品種開発のプロセスと課題について、キュウリ、ニガウリ、パプリカ、ネギ、ダイコンを例に語っていただいた。
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- 戦後の野菜園芸は、生態育種、一代雑種、病害抵抗性育種で、品種を多様化して作型を分化させ、施設園芸の普及とあいまって、多くの品種が旬を拡大させた。よく野菜の旬がなくなったといわれるが、そうではなく、むしろ旬が広がったのである。
- 野菜の周年的供給を可能にし、農業活性化に貢献してきた野菜園芸も、担い手の漸減などにより、生産基盤が弱体化しつつある。
- 近年、野菜の消費量が他国と比較しても減っており、特に若年層は著しい。消費量を増やし、野菜園芸を活性化させるために、トレーサビリティの導入、機能性についての啓発、食農教育の推進、地方野菜の見直し、地産地消の推進など、様々な方策が立てられている。
- 生産性の高い作型が構築されなければ、担い手は育たない。消費拡大・自給率の向上には、消費者・実需者のニーズにかなう品種を育成し、人と作物との共生関係を品種レベルで進化させることが必要である。「園芸学とは品種の学問である」
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