タイトル<野菜の学校>
●「野菜を食べ比べ」て、美味しさの真髄を学ぶ●
江澤正平さんの『野菜の学校』 NPO法人野菜と文化のフォーラム
- 2005年 8月期の学習 -
日時:2005年8月6日 PM2:30〜 場所:東京都青果物商業協同組合ビル8階会議室
舌の味覚をみがく、これ、「ベロ・メーター」と呼ぶ
8月の『野菜の食べ比べ』は、
胡瓜(キュウリ)、南瓜(カボチャ)、枝豆
野菜は「食べ物」ですけれど、「植物」です。美味しい野菜の味は植物の性質を知ること。「植物学」で“アタマを耕す”ことから授業開始のベルが鳴る『野菜の学校』。
講師は荻原佐太郎元千葉県農業試験場長(本会理事・顧問)── 「果皮の白い粉をブルームと呼びますが、農薬に誤解され嫌われました。それで今日では、ブルーム・レスになるカボチャ台木に接ぎ木されて、果実に光沢のある胡瓜がほとんどです。果皮が固く、漬物には不向き。収穫時期は若採り(100g、21cm)で、植物が成熟する前に食べてしまうわけですから、“植物の香り”は少ないです。南瓜には日本南瓜、西洋南瓜、ペポカボチャがあります。ねっとりとして水分の多い、甘みの少ない日本南瓜(和種)より、粉質でほくほくとした肉質の西洋南瓜(洋種)が主流です。緑黄野菜の保存は難しいのですが、南瓜は例外。この特性を活かして、収穫後1ヶ月ほど熟成させて、でんぷんの糖化を待つ。原産地はアメリカ大陸で、日本では17世紀初めに九州地方で栽培されています。
枝豆は大豆の若莢を、未熟なうちに収穫したもので、完熟すると“畑の肉”と呼ばれる大豆になり、豊富なたんぱく質源ですが、枝豆には大豆にないビタミンCが含まれています。穀物用として5千年の歴史があるといわれ、古事記、日本書紀に見られる中国伝来の古い作物。200種程の枝豆専用品種があります。枝つきともぎ取りでは糖分やアミノ酸の含有量に違いがあり、朝と前夜採りでも糖分貯量に違いがあり、枝つきを食べたいです」

【閑話休題】 東京青果の東海林邦子さんの、食べ比べ野菜の産地と市況の説明。
今夏は30度を超す猛暑の影響で売れ行きが鈍り、野菜は全般に安値。

江澤正平さんの出番…、「野菜の学校」の名物“味の辻説法”。
「巷には、味を聞く、見る情報だけが溢れて、舌の情報がない。見る味ばかりが世間に横行し、舌で感じてこそ、味は旨いのか不味いのかがわかるのである。ベロ(舌)がいっとう大事!、自らのベロ(舌)メーターを上げなさい!」
そこで今月の教訓は、「味な人は舌を鍛える。確かな舌を創る」
最終授業は“ベロ・メーター”を創る「食べ比べ」の勉強──
“利き味”の体験、その結果はいかに?! 食味、食感の感想多岐にわたり、品種、産地を特定すること定まらず。生徒諸兄が今後、食べながら味差の好みをみつけていく、これに尽きる、か。
本日の受講生37名。お世話をした人9名。調理指導・荒井慶子副理事長
供試野菜・市況説明 東京青果個性園芸事業部 東海林 邦子さん
胡瓜・茄子・枝豆の品目一覧表 (17.8 供試野菜協力:東京青果)

品 目 産 地 品 種 種苗育成 備 考
キュウリ 青森 JA 田子 ほっきこうジュピター カネコ ブルームレス
福島 JA 伊達みらい梁川 パイロット2号 ときわ 自根・ブルーム有
福島 JA 須賀川岩瀬青果物流セ 四川 カネコ 四葉系、いぼ多
千葉 井橋氏出荷 フリーダム サカタ いぼ無
石川 金沢 加賀太 ( 煮 ) 在来種 加賀野菜・シベリア系
茨城 水戸 ミニQ ( 浅漬け加工品 ) トキタ いぼ無ミニキュウリ
長野 アコーズ 金星 ときわ ブルームレス
カボチャ 北海道 JA 函館森支店 みやこ サカタ (( 財 ) 園研 ) 洋種の代表種の1つ
福島 JA 白河 イーテイ ( 財 ) 園研 洋種・粉質
秋田 山本 栗ごころ トキタ 洋種・粉質
千葉 富里 栗ごころ トキタ 洋種・粉質
石川 金沢 ( 加賀野菜 ) 打木赤皮甘栗 ( 小型・煮 ) 在来種 会津から伝来の洋種、粘質
石川 金沢 ( 加賀野菜 ) 小菊 ( 小型・煮 ) 在来種 和種・粘質
枝豆 山形 JA 鶴岡 早生甘露 在来種 ただちゃ豆
青森 JA 田子 一力 カネコ 県内主力品種
群馬 沼田利根蔬菜出荷組合 湯あがり娘 カネコ 「味緑」、茶豆の風味
新潟 JA 白根市 茶豆 黒埼茶豆、庄内から導入
参考出品 新潟 長岡・中島地区原産 長岡巾着なす 在来種 蒸かし、果肉が硬く締まる
新潟 長岡・大島地区原産 梨なす 在来種 泉州水なす系、漬け物用
今回の食べ比べで、キュウリでは
@ブルームレス(カボチャ台木・接ぎ木栽培)とブルーム(自根栽培)
Aいぼの多い「四葉(すうよう)系」といぼが少ない品種の食味比較。さらに普通キュウリより4倍も太い「加賀太」の煮キュウリの味を経験した。カボチャでは洋種系3品種のほくほくした粉肉質の食べ比べと、いわゆる「加賀野菜」の代表として粘肉質の「打木赤皮」「小菊」の食味を体験した。枝豆では山形「だだちゃ豆」と群馬「茶豆」の風味の比較。従来、山形ではやや未熟で出荷されるため豆の香りがいくぶん強い。関東ではより完熟で出荷されるため豆にボリューム感があり甘みが強い。
参考出品では長岡巾着なすは、新潟では古来から蒸かして食べるなすとして利用され、珍しい。

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