タイトル<野菜の学校>
●「野菜を食べ比べ」て、美味しさの真髄を学ぶ●
江澤正平さんの『野菜の学校』 NPO法人野菜と文化のフォーラム
- 2006年 5月期の学習 -
日時:2006年5月6日(土) PM1:30〜 場所: 東京秋葉原・ 東京都青果物商業協同組合ビル8階 会議室
最・終・回 「飽きない味」を追い求めよ…●今月の格言
『5月の食べ比べ野菜』 ブロッコリー・フキ・カブ
野菜は「食べ物」なけれど「植物」。
その本質を見極め、美味しさ知る。
『野菜の学校』は「味の説法」と「植物学」の講義と“百聞は一味”の教え『食べ比べ』体験!
“味の説法”・・・江澤正平さん、かく語る!
「説法は12話、今回で最終回になる。この一年間、野菜の“美味探求”に実践的な“舌”の鍛錬に怠りなく、よってここに修了証書を授与したい。こののち諸兄諸姉は、斯界の“耆宿”といわれることであろう。
さて、人類が火を使用するようになって50万年ほどを経たが、このときまでは「生きている」ものしか食料として口にはしなかった。農業がはじまったのはおよそ3万年前に、食料を生産する場所を発生させた。長い歴史の味を踏まえて、いま野菜の味とは何か、美味しさとは何か、品質とは、美味しい時季は何時か、これらすべてを舌(べろ)により問い直せよ、と言いたい。
  苦味、辛味といった「味」も、野菜である。植物は必ず外敵から身を守る“防御物質”をもち、近年、キュウリにもこのような苦味が消えた。品種改良が除かせた。キュウリは先端に苦味を持ち、種子の頃には自然に消えるのだが、品種改良の技術はトマトの糖度を上げ、甘い姿に変えた。これが今日の野菜の“味”なのである。
  本当に美味しい時季は何時なのか。美味しさより規格が優先する。形状だけでなく、味も均一化する、そのための品種改良であった。 
  野菜の“旨さ”を感じるのは難しいことだ。もともと野菜は淡白な味だ。「味」を一般化する科学が待たれるが、一方で、かつての苦味、辛味を活かす旨い食べ方があって、ピーマンを、ゴボウを実際に美味しく食べている農村地域がある。
  九十歳の齢を超えた江澤が、わが“野菜人生”の体験から得た「美味しさ」を解く4つのキーワードを伝授する。一つ、「飽きない味」であること。二つ、口に入るものであり「口当たりの良い」こと。三つ、「楽しい気分を起こさせる」こと。四つ、「健康になるもの」であること。これらを念頭に、一層の“ベロ(舌)メーター感度計”を研ぎ澄ますよう望む。いつかまた、再会しよう!」
──講師・荻原佐太郎元千葉農業試験場長のお話。
ブロッコリー・2(初夏どり)
昨年11月に「冬どりブロッコリー」の講義をしましたが、植物学的には同じです。初夏どりの場合は、作型が冬・早春播きで、ハウス内で育苗を行い、トンネル、露地に定植する。低温期に播種して高温期に収穫するので、葉数が少なくて花芽分化し、出蕾後は急生長をする。花蕾の発育の早いのが特徴で、蕾の開かないうちに収穫する。品質保持のため畑で予冷する。
フキ(蕗・苳・かん冬)
キク科フキ属。根茎を伸ばして繁殖する多年草。雌雄異株で、雄株は伸びずに早くに枯れる。耐寒耐暑性、日陰に強く、酸性土壌に強い。日本が原産地で、山野や水路付近に自生し、平安時代から栽培されている。品種には、愛知早生、水ブキ、秋田ブキ、山ブキがあり、フキノトウは蕾。露地栽培、ハウス促成栽培(株冷蔵栽培)が行われている。
カブ・2(春どり)
昨年7月の講義通り、ハクサイやツケナと同種であるアブラナ科アブラナ属の1年、2年草木である。春どりは1〜3月に播種し、トンネル栽培で4〜6月に収穫する。春の七草のスズナはカブを指し、原産地はアフガニスタン付近説、ヨーロッパ南西部説がある。日本への伝来もこの二つのルートがあり、岐阜県の関が原を境にして両者が分布する。カブの面白さは、地方ごとに品種改良をしてきたところにあり、その結果、地名の付いた品種に特徴がある。
 
「食べ比べ」──“利き味”やいかに?!

△「寒さと味と品質の関係?」
△「近年、出荷量はどうか?」
△「春カブはやわらかく、甘い、と言える?」
▼ ブロッコリーは寒さ対策から花を早く咲かせることで生長しない分、実は締まるかもしれない。一般的には寒にあたると甘さがでるが…どうだろうか。(荻原先生)
▼フキは、下茹(ゆで)作業する商品が減っている。(東京青果)

▼本日のカブは想像以上に甘い。栽培者の技術だろう。秋カブはずっしり重く、春カブはやわらかいという特徴がある。(江澤先生)
▼品質という場合、味より先に「均一性、当たり外れのないものである」ということがある。「外観の品質と食べる品質」とは違う。野菜は「商い」の側面もあることを知っておくべし。(江澤先生)

恒例の人気投票で「産地別&品種別」の「食べ比べ」を締めくくる。
本日の受講生34名。お世話をした人7名。
調理指導・荒井慶子さん
【閑話休題】
『食べ比べ』前は、いつもの東京青果(株)東海林氏より産地情報と市況解説。

 

 
HP原稿・レポーター
青木 宏高氏
春キャベツ・いんげん・えんどう・それまめの品目一覧表
(18.5 供試野菜協力:東京青果)

品 目
産 地
品 種
備考
ブロッコリー 愛知 愛知みなみ 田原 すばる
(ブロリード)
終盤。春の品種で品質重視で出荷
  埼玉 榛沢農協 ピクセル・緑帝
(サカタのタネ)
中盤。露地主力。品質良く、2L比多い
  群馬 群馬みどり農協 笠懸 グリーンパラソル
(タキイ種苗)
露地主力。5月の露地物は軸まで軟らかい
フキ 愛知 知多 愛知早生ふき 愛知伝統野菜。軟らかく食べやすく、定番の煮物、サラダ、かきあげにも適す
  群馬 利根沼田農協 
糸之瀬
水ふき 名称通り水分たっぷり。ふきには大別して水ふき、愛知早生ふき、秋田ふきの栽培
  静岡 伊豆太陽農協 
南部
野ぶき 伊豆特産。小型で軟らかで風味ある。きんぴら、きゃらぶき
カブ 福島 農産未来 しろかもめ
(武蔵野種苗)
緻密な肉質、肌もきめ細かく、生食向きの軟らかさ
  千葉 東葛ふたば農協 早見 白涼
(トーホク)
全国の有数産地。締まった肉質と光沢ある食味の品種
  埼玉 マル原組合 きらりのゆめ
(日本農林社)
独自の土と有機肥料で、みずみずしく甘く、生で食す逸品
  千葉 JA君津 あやめ雪
(サカタのタネ)
紫と白の美しい新品種。表面が桃色の漬物に仕上がる

事務局として受講させていただいた。「おいしい野菜の定義とはなんぞや?」という疑問を持ち続けていたが、おいしさとは主観的であり人から強制されるものではない。どんなに「栄養価があって健康によいもの」であっても、「口当たりが悪かったり」「楽しい気分にならなかったり」すると「毎日食べても飽きないもの」にはなりえない。最終回でこの結論が明快に得られた。このような抽象的な事柄をなんとか数値化できないものだろうか?。
通算12回講義の供試野菜の内訳は30都府県・134産地、3外国・3品種、30作物・158品種に及んだ。毎回3作物、複数産地の野菜を食べ比べていて感じたことは、いわゆる銘柄産地と普通産地のものとでは差があり、前者のそれは「品種・作型」「気象・栽培技術」「収穫期・追熟(食べ頃)」が適正であり、安定して評価が高かった。

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