「沖縄野菜の底力」
沖縄の食・農へのアテンダント 高山厚子氏
高山先生は沖縄出身の元小学校校長。現在は沖縄の食・農をテーマに、学校での授業、沖縄食材の料理研究、執筆・講演などでご活躍で、今回は沖縄の歴史・風土と沖縄野菜の関わり、沖縄野菜の特長についてお話しいただきました。
<講義より>
沖縄は47都道府県中44番目の小さな県で、160の島で成り立っています。日本で唯一亜熱帯性気候のため、平均気温22℃、年間光量も多く、高温多湿の地、台風の通り道でもあります。
かつて琉球国といわれた沖縄は、中国と関わりが深いという歴史があり、その影響を大きく受けていました。その後、東南アジア、日本との関わりを深め、第2次大戦後は米国統治、さらに1972年の本土復帰という苦難の歴史を経てきました。食も歴史の過程で変遷し、中国の賓客をもてなすために中国料理を学び、薩摩との関わりで薩摩の料理を学び、そのミックスされたものが沖縄の宮廷料理になったのです。
沖縄は米国統治によって西洋の食材が蔓延するまでは、長寿県としても定評があり、独特の風土で育まれる沖縄の農産物は、健康野菜として注目されるようになりました。
沖縄の伝統的農産物は「島野菜」といわれ、28品目あります。これらは県内で古くから伝統的に栽培されてきた農産物ですが、「島野菜」の定義は厳密には決まっていません。
沖縄の伝統野菜の特長としては以下が挙げられます。
- 抗酸化作用が強い…日本で一番紫外線が強く、海洋亜熱帯気候で海風の影響も大きい。また、珊瑚礁の大地であることから、野菜にミネラルが豊富。病気や老化を予防する抗酸化作用にもすぐれています。
- 1000種以上の薬草がある…沖縄野菜は生薬や民間薬の中に入っていることも多く、日常の食事がまさに医食同源。特に、苦み、渋みを上手に生かすのが独特です。
沖縄の食生活は、このような季節の島野菜をたっぷりいただくことと、昆布、豆腐を多用するのが伝統的で、それが健康・長寿につながった、とのお話でした。そして、後述の各野菜についての紹介がありました。
当学校のスタッフである管理栄養士の松村眞由子氏からは、今回の授業に先立って沖縄に研修に訪れた際に聞いたこととして、沖縄の土壌の特殊性についての話が加えられました。
沖縄の土壌は、南部は中性・アルカリ性、中部は粘土質、北部は酸性とまったく異なり、加えて多雨、台風の通り道、暑さといった自然条件のきびしさがある中で、土壌の改良をしつつ、作れるものを工夫してきたとのこと。地形上、ダムは造れないので、南部は地下ダムで水の供給が可能になっているそうです。
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