タイトル<野菜の学校>
● 2010年度「野菜の学校」 ●
- 2010年9月授業のレポート -
【当日の長岡野菜とその料理】
※植物分類表記は、系統発生解析による新しいAPG分類体系に基づく。

◆長岡巾着なす・梨なす・八石なす <ナス科>

 原産はインド東部。水分が93.2%でとりたてて栄養があるわけではない。果肉にクロロゲン酸などのポリフェノール類を含み、切り口が空気に触れると褐変したり、エグミの原因になる。アントシアニン系の色素であるナスニンが含まれていて、動脈硬化や老化予防に効果があるといわれる。

 

□長岡巾着なす

 「明治14年から長岡市中島地区で栽培されている。長岡では蒸かしてからしじょうゆやごまじょうゆで食べるのが一般的。煮もの、炒めもの、みそ漬けなどにも合い、豚肉で巻いてトンカツにしても、肉に負けない美味だった」(鈴木氏)

長岡巾着なす

 巾着なすは、直径約10cm前後にもなる、ややつぶれた球形のなす。ヘタ付近に浅いしわが入った様子が巾着に似ていることから、この名がある。果皮はやや固めで、果肉はしっかり詰まっている。

<試食後の主な感想>

 ◎巾着なすの蒸かしなす

  • 食感がしっかり残っていて、皮もキュリキュリした独特の食感が残り、味の面だけでなく、食感の面でも、ぜひ皮ごと蒸かして食べるのがおすすめだと思います。

  • 香りよし、歯ごたえ弾力あり、食べている楽しみを感じる。皮は頭に響くので、邪魔ですね。

巾着なすの蒸かしなす
  • シャキシャキ、キュッキュッとした噛みごたえ。凝縮感。蒸かすとフワフワするなすが多いので、新鮮な食感。見た目より皮が気にならない。白いけどあっさり。

  • かなりかたい。噛み切る、という感じ。ソテーは万人向けだが、「蒸かしなす」は客を選ぶ感じ。食品としての「巾着なす」の魅力を生かすレシピを提案しないと一般うけはしないと思う。

  • 皮はかたすぎず、歯切れがよい。噛むほどにうまみを感じる。種が多いことがやや気になる。水分が閉じ込められていて、ジューシー。

  • 皮かためだが、風味よし。見た目を裏切る(?)うまみとさわやかな風味。巾着なすはタレによっていろいろな料理が楽しめるのではないかと思う。

  • 味が濃い。歯ごたえよく、噛みしめるとさらに味が出る。久しぶりに、蒸しなすが「おいしい!」と思った。

  • やわらかくクリーミーな部分と、かたい部分がある。蒸かし方が難しそう。辛子醤油もよいが、ごまダレやイタリア風、中華風ダレでもいけそう。

 ◎巾着なすのソテー

  • 中はトロリとやわらかな食感で、味は濃厚で甘みがグッと増していたと思います。

  • 食べごたえのある食感。どんな料理にも、「素材」として合うのでは? 料理する人の工夫次第で、メニューが広がりそう。

巾着なすのソテー
  • 甘みがある。しっかりした肉質で、焼いてもとろけすぎず、とてもおいしい。存在感があるので、なすステーキにできるのでは。

  • 口溶けがよい。「蒸かし」とは全く違う食感。種の回りのぬめりと、実のしっかりしたかたさが合わさっているのがよい。

  • ホロホロした食感が残り、とろけすぎず。「蒸かし」とは同じとは思えないくらい濃厚な甘さで別物。変身がすごい! 皮かかたいのですが、歯切れがよく食べやすい。

  • 輪切りなので、やわらかく、食べやすい。蒸すよりもうまみを感じる。味が濃い。

  • 甘みが先にきて、しっかりとしつつもやわらかい味わいで、食べ出すと止まらなくなります。
□梨なす

 「昭和10年頃に泉州水なすが元で伝わってきたようだ。大変ジューシーで、料理家の道場六三郎が梨なすを刺身で出したのがとても印象的だった」(鈴木氏)

 梨なすは梨のように瑞々しく甘いことからこの名がある。5cm程度の小なすで、丸に近い短卵型。果皮は光沢のある黒色で、果肉はやや締まりに欠けるが、漬けなすとしてやわらかく漬かる。黒十全とも呼ばれる。

梨なす

<試食後の主な感想>

 ◎梨なすの浅漬け(市販の加工品)

  • 泉州出身なので、まさに泉州の水なすを思わせる感じでした。味は意外に淡泊な感じでした。

  • 雑味なく、上品な味。ほのかな甘みがある。しっかりした食感。

梨なすの浅漬け
  • 皮もかたすぎず、しっかりしているが実はやわらかい。漬けた後も皮の色がきれい。

  • 皮の群青色に魅せられる! 目でおいしい。漬かっていても、甘さが生きていて美味! 歯ごたえが残っているのがよい。

  • 皮と身の食感のバランスがすごくいい(梨なす全部の料理に共通している)。酒処でもあるので、酒粕漬けも食べてみたいと思った。

  • 丸ごと囓れる。ご飯や酒に合いますね。皮と実の色のコントラストも美しいです。

 ◎梨なすの焼きなす

  • さわやかな甘さ。トロッとしてうまみがある。

  • 実が崩れず、しっかりしている。なすらしい香りがあって、味がしっかりしている。

  • 実がしっかりしている。「アクも味のうち」が生かされている味い。

梨なすの焼きなす
  • なすの香りと甘みが強い。味がしっかりある。

  • とても甘い。長なすなどよりトロリとしている。

□八石なす

 八石なすは泉州水なすの系統で、直径7cm程度の短卵型を押しつぶしたような巾着型。皮はやわらかく、果皮は緻密で水分を多く含む。漬けなすに適するが、栽培が難しく、1本の木に50個ほどしか実をつけない。十全なすとも呼ばれる。

<試食後の主な感想>


八石なす

 ◎八石なすの生

  • フルーツを思わせるようなさわやかな香りがして、ほんのり甘みもあり、食べやすかったです。

  • 皮が思ったよりかたくなくよい。漬物に◎。

  • 香りが田舎で食べていた水なすのようで、かすかなアクがうまい。

  • やわらかくてみずみずしい。しっとり甘いなす風味。

  • みずみずしくて、サラダとしても使えそう。

  • フルーティーでジューシーだが、歯ごたえも残っているのが印象的。水なすとは違う、果実感のある食感。

  • 皮が気にならない。長なすのようにフワフワしていない。みずみずしい。えぐみがない。

  • ほっくりしている。繊維が緻密。苦みの中に甘みがあり、なすの香りもしっかりある
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