◆田辺大根(たなべだいこん) <アブラナ科>
大根の原産は中央アジアとも地中海地方ともいわれる。田辺大根は大阪市東成郡田辺地区特産の白首大根。白あがり京大根とねずみ大根が交雑した後代が土着したものではとないかといわれる。明治時代の田辺大根は縦横ほぼ同長の短根だったが、次第に長型に改良され、現在は長さ20cm、太さ9cmほどの短円筒形で、末端が少し肥大して丸みを帯びる。葉は毛じがなくてやわらかい。
肉質は緻密できめ細かく、やわらかくて甘いので、煮ものや甘酢漬けによい。また繊維が放射状にくっきりとして緻密なので、おでんのように長時間煮ても、嵩が減ったり、凹んだり、煮くずれも少ない。
塩鮭の骨や頭を田辺大根と一緒にすまし仕立てにした「船場汁」は、大阪船場の食文化だった。
おろしにすると、水分が少なく、しっかりして刺激的な辛みがあるので、おろしそばなどに向く。
葉はふさふさしてやわらかいので、青菜としてゆでて食べられる。
|