◆吹田慈姑(すいたくわい) <オモダカ科>
日本と中国では塊茎を食用にする。ただ、吹田慈姑は昔中国から輸入された一般の慈姑の1品種ではなく、オモダカが日本の肥沃な土地で成長進化したもので、吹田原産であることが、植物分類学の大家である牧野富太郎博士によって明らかにされた。可憐な白い花や鏃型の葉も観賞用として愛でられるのは吹田慈姑ならではのことである。また一般の慈姑に比べると小さいため、「豆慈姑」「姫慈姑」とも呼ばれ、やわらかく、ほっくりして味が濃く、独特のほろ苦さの中にうま味がある。
日本では「芽が出る」縁起のよい食物として、またおせち料理として使われる。
皮をむいて水にさらしたり、米のとぎ汁でゆでてアクを抜いてから、煮しめ、田楽、から揚げなどにする。
※慈姑の名前の由来は諸説ある。「河芋(かわいも)」が変化したという説、葉が鍬の形に似ていることから「鍬芋(くわいも)」の略という説もある。漢名の「慈姑」は、くわいが1年で1根に12子ができることから、その姿が慈愛深い母親(姑)が子どもたちを養育する姿に似ていると、当てられたそうである。
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