タイトル<野菜の学校>
● 2011年度「野菜の学校」 ●
- 2011年7月授業のレポート -
【食べくらべ後の主な感想・意見】
※以下、「八町きゅうり」は「八町」、「白いぼ系ブルームレスきゅうり」は「白いぼブルームレス」、「白いぼ系ブルームきゅうり」は「白いぼブルーム」で表します。


八町


白いぼブルームレス


白いぼブルーム

 

  • 3種の食べくらべはむずかしかった。「八町」は種がはっきりしていて、甘み、香りがあり、白ウリの名残りが強い。「白いぼブルームレス」は皮が固い、「白いぼブルーム」は甘み、風味があり、皮と実の固さの落差が少なく一体感があった。

  • 「八町」は肉質が緻密でしっかりしていて、皮も固く、後味にウリの香りがあった。「白いぼブルームレス」は見た目がきれいだが、青臭い。「白いぼブルーム」は食感も一番きゅうりらしいと思った。「八町」は漬けもの、「白いぼブルームレス」はサラダ、「白いぼブルーム」はそのまま生でみそをつけて食べたい。

  • 「八町」はやわらかいが、中心部ほどボソボソ感があった。「白いぼブルームレス」は固いが、緑が濃いので鮮度感があり、流通に乗せるにはよさそう。ふだん食べ慣れた印象で、きゅうりはこんなものという感じだった。塩をすると、「白いぼブルーム」は塩がききすぎ、「白いぼブルームレス」のほうが塩気、食感ともほどよい感じだった。

  • 「八町」は種がしっかりしていて、実の歯ごたえはちょっと頼りない感じ。塩なじみがよく、さっぱりした味わい。「白いぼブルームレス」は皮が固く、実もバリバリ、香りはさっぱりしていて特徴がない。「白いぼブルーム」はやわらかく、独特の香りがあった。
  • 「八町」は見た目の白さ、みずみずしさがいい。甘み、香りがあり、ウリくささがある。食感はザラッとした粉っぽさを感じた。「白いぼブルームレス」と「白いぼブルーム」は意識しないとわからないのでは? 「白いぼブルームレス」は皮の固さを感じたが、いつものきゅうりという印象で、味わいもそっけなく感じた。

  • 「八町」は切り口が白っぽく、漬けものにするとパリパリして甘みもあった。「白いぼブルームレス」は食べ慣れた味で、鮮やか、パリパリ感があった。「白いぼブルーム」は独特のクセと青臭さがあり、きゅうり嫌いは嫌いだろうと思った。

  • 「八町」は甘みがあって、「加賀太きゅうり」のようだと思った。

★今のきゅうりについて、山本氏から以下のアドバイスがありました。

 「みなさんが生まれたのが昭和40年の前か後かで、きゅうりに対しては大きな断絶があります。元々、きゅうりは、大根やかぶに次いで各地にものすごくバリエーションが多かったのが、昭和40年以後、F1種が流通するようになったからです。

 きゅうりは、自根か台木かでまったく変わります。台木は病気を克服するためのもので、かぼちゃの台木がよく使われます。これを使って、ブルームレスもブルームも作られますが、ブルームレスきゅうりは皮が固く、つやつやしているので、わかりやすい。

 自根か台木かで、果肉の質と味が変わります。というのも、きゅうりの自根は珪酸を吸収しますが、かぼちゃは吸収しない。結果、自根きゅうりのほうが皮と果肉の食感が近く、いわゆる歯切れがよくなるのです。風味も違い、特にブルームのほうが風味は濃い。

 きゅうりがイヤな人はブルームレスが出回って以降に生まれた人が多いようです。

 自根きゅうりの有力産地が、今回の被災地域である陸前高田でした。

 日本のきゅうりには白いぼと黒いぼが入っていますが、もう複雑に混ざって、絡み合っています。今日の「八町きゅうり」も来歴はよくわからなくなっていますが、このくらいの大きさが好ましく、歯にしっくり来て、ウリ科特有のククルビタシンもあり、きゅうりはこうあってほしいという要素を備えているように思いました。本来はもう少し大きくして収穫するのでしょうが。

 きゅうりは交配が複雑で土壌養分で違ってくるし、品種特性より台木で変わるので、組み合わせは無限といってもいい。つまり味わいも無限なのです。外観で判断したり、先入観をもたずに食べることをおすすめします」

>>> 2011年7月「信州野菜」レポートトップに戻る