★今のきゅうりについて、山本氏から以下のアドバイスがありました。
「みなさんが生まれたのが昭和40年の前か後かで、きゅうりに対しては大きな断絶があります。元々、きゅうりは、大根やかぶに次いで各地にものすごくバリエーションが多かったのが、昭和40年以後、F1種が流通するようになったからです。
きゅうりは、自根か台木かでまったく変わります。台木は病気を克服するためのもので、かぼちゃの台木がよく使われます。これを使って、ブルームレスもブルームも作られますが、ブルームレスきゅうりは皮が固く、つやつやしているので、わかりやすい。
自根か台木かで、果肉の質と味が変わります。というのも、きゅうりの自根は珪酸を吸収しますが、かぼちゃは吸収しない。結果、自根きゅうりのほうが皮と果肉の食感が近く、いわゆる歯切れがよくなるのです。風味も違い、特にブルームのほうが風味は濃い。
きゅうりがイヤな人はブルームレスが出回って以降に生まれた人が多いようです。
自根きゅうりの有力産地が、今回の被災地域である陸前高田でした。
日本のきゅうりには白いぼと黒いぼが入っていますが、もう複雑に混ざって、絡み合っています。今日の「八町きゅうり」も来歴はよくわからなくなっていますが、このくらいの大きさが好ましく、歯にしっくり来て、ウリ科特有のククルビタシンもあり、きゅうりはこうあってほしいという要素を備えているように思いました。本来はもう少し大きくして収穫するのでしょうが。
きゅうりは交配が複雑で土壌養分で違ってくるし、品種特性より台木で変わるので、組み合わせは無限といってもいい。つまり味わいも無限なのです。外観で判断したり、先入観をもたずに食べることをおすすめします」
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