宮崎では宮崎ブランド推進協会を設けて、一定基準をクリアした農産物をブランド化し、現在34品目にのぼっています。例えば完熟きんかん「たまたま」は、ハウス栽培で開花から210日以上樹上で完熟させたもので、糖度16度以上、横径28mm以上が条件になるという具合です。完熟マンゴー「太陽の卵」も糖度16度以上で、これはよく知られるようになりました。
また産地としての信頼を確かにするために、食の安全・安心にも力を入れています。特に残留農薬検査システムは宮崎方式と呼ばれ、国内で使用される農薬のほぼすべての成分を2時間で分析できるようにしました。出荷して市場に並ぶ前にはわかるわけです。この検査システムでは特許をもっています。
そして、取引を安定的に行えるように、例えば量販店と協力してレシピを作ったり、異業種と連携して情報発信を行ったりもしています。
近年は「健康」にも着目して、新しい戦略を展開しています。宮崎は冬場の日照量は全国トップクラスで、一方、野菜やくだもののビタミンCやβカロテンは、日照量が多いと増える傾向にあることがわかってきました。宮崎産は、例えばピーマンの場合、通常よりビタミンCもβカロテンも1.5倍量含まれることが確認されています。このあたりも、しっかり売り込みをかけているところです。
ここで宮崎県の野菜栽培の歴史をちょっと振り返ってみたいと思います。
宮崎県では、1890年代にはきゅうり栽培が始まり、切り干しだいこんの生産も全国1位に、1900年代にはきゅうり、かぼちゃ、なすなどの早出し栽培も既に行われていました。1923年に日豊線が開通すると、県外への販売が急速に進み、やがて大阪、東京にまで拡大しました。
1950年代にはハウス栽培の先駆けのような屋根式の栽培が始まり、1960年代にはビニールハウスによる施設園芸栽培が開始。ピーマンやきゅうりなどの主力野菜の促成栽培が普及していきました。
みやざきブランドに取り組み始めたのは1991年ですが、さらに2001年になって「商品ブランド認証制度」を設け、新みやざきブランドを推進しながら現在に至っています。
◆地域野菜の保存活動はスタートしたばかり
宮崎は温暖な気候なので、メジャーな野菜がドンドン作れた上、かなりのんびりした県民性もあって、地域の野菜の記録をほとんど残してきませんでした。地域作物にどんなものがあるのか、その定義をするにも充分なデータがなかったため、2001年になって、宮崎県総合農業試験場薬草・地域作物センターを設置して、保存のための活動をスタートしました。現在、薬用植物やハーブ、地域作物、山菜など約650種を植栽・展示しています。
地域作物としては、かぶ、いも、かぼちゃ、なすなど18品種を保存しています。他県ほど認証制度までは設けていないのですが、地域作物として代々受け継がれてきたもので、京いも、黒皮(日向)かぼちゃ、佐土原なすなどが知られています。佐土原なすは、江戸時代に佐土原藩が藩をあげて既に栽培していたなすで、現在は関東方面にも来ています。
豆も面白いものがあります。県内の椎葉村で代々作られてきた不老豆、花豆などで、さやのまま天ぷらにしたり、煮豆に、みそ汁に、あんこに、赤飯に小豆がわりに入れたりもします。でも、今は一人しか作っていません。他県にも似たような豆があるのではと思いますので、ルーツを知っていたら、ぜひ教えてください。
今日持参した野菜をご紹介していきましょう。
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