タイトル<野菜の学校>
● 2011年度「野菜の学校」 ●
- 2012年2月授業のレポート -


宮崎の伝統野菜・地方野菜

 野菜の学校では、昨期、「日本の伝統野菜・地方野菜」の講座を1年間展開し、大変好評を博しました。今期は引き続き同じテーマで、毎月、昨期に取り上げられなかった一地方の、できるだけその時期の伝統野菜・地方野菜を数種取り上げます。授業は主に、「その地の専門家の講義」、「伝統野菜1種の他、地方産やハイブリッド種などとの食べくらべ」、「それぞれの野菜を生かした料理の試食」、「受講生の意見交換」で構成しています。

開催日:
2012年2月4日(土)
会場:

東京都青果物商業協同組合会議室

テーマ:

宮崎の伝統・地方野菜「京いも(たけのこいも)、平家かぶ、西米良(にしめら)だいこん、いらかぶ、黒皮かぼちゃ、日向夏(季節の特産フルーツ)」

スタッフ:
スタッフリスト
 「みやざきブランド」農産物は、東京市場を通して私たちの食卓でもおなじみです。一方、宮崎の内陸部には平家の落人伝説が根強くあり、そうした地域を中心に、近年、地域作物の保存・研究の取り組みもスタートしているそうです。今回の講師である日高義幸氏のご尽力で、宮崎の貴重な伝統野菜に出合うことができました。
【講義】

「みやざきブランドの取り組みと宮崎地域野菜について」

宮崎県東京事務所流通物産担当 課長 日高 義幸(ひだか よしゆき)氏

 日高氏は昭和61年農業技術職として宮崎県に入庁。その後、百貨店の販売流通に関わったり、県知事の秘書科に配属されたりと、農業技術職としては異端児をもいえるキャリアを重ねてこられたそうで、現在は東京事務所でみやざきブランドの農産物全般の販促・流通を担当しておられます。

講義内容の詳細はこちら

 ☆   ☆   ☆

●東京青果(株)の宮坂守文氏からは、市場の状況報告。サトイモの扱い量は年間1,000tで、去年は前年より増えたそうです。京いも、セレベス、八つ頭は300t。京いもはほとんどが宮崎産、八つ頭は正月の縁起物として出回ります。サトイモは皮をむく手間があり、料理がしにくいからか、扱い量が年々減る傾向で、平成元年に比べると23年間で43%まで減っているそうです。
 野菜全般の動向を見ると、昨年増えたものは、輸入によってブロッコリー、アスパラガス、パプリカ、簡便性から増えたのが小ねぎ、ミニトマト、みょうが、水菜、健康志向からはゴーヤー、長いも、れんこんだとか。大きく減ったのは豆類で、収穫に手間がかかる上、石油の高騰で節電が進み、収量が上がらなかったのが原因のようです。

●スタッフである管理栄養士の松村眞由子さんからは、季節と体、野菜の関係などのお話。冬場は緑黄色野菜が出回りますが、ビタミンAは粘膜を強くし、ビタミンCは風邪予防になるので、地産地消は健康との関係においても、よくできているとのこと。特に青菜は、寒さに備えて糖分を蓄えるので甘みが増しておいしくなっています。冬は私たちの体の基礎代謝は上がるものの、動かなくなりがちで、一方、食べものがおいしくなるため、太る傾向があるようです。また、太るのは、不眠やストレスも原因。夕食の時間も問題で、脂肪を体に蓄えるたんぱく質が働くのは23:00〜2:00ということを考えると、夜遅い食事は控えたほうがよいことがわかります。

●続いて調理責任者の領家彰子さんから、食べくらべと当日の料理試食の説明。京いもは上と下では味が変わるので、気をつけて食べてもらいたいこと、各いもの持ち味を生かすために厚めに切っていること、平家かぶの調理は難しかったが、白い部分を揚げたらとびっきりの味になったことなどが伝えられました。

【食べくらべ】

 食べくらべは、「京いも」「えびいも(静岡産)」「セレベス(千葉産)」「八つ頭(埼玉産)」を蒸したものを食べくらべました。いずれも粉質で、えびいもは唐のいもを種いもに、独特のえびのような形に栽培された子いも、セレベス、八つ頭は親子兼用品種です。


食べくらべ

 食べくらべのコーディネーターはスタッフの村野恵子さん。食べくらべは、もちろん、「おいしい・まずい」の表現はタブーです。各自で食べくらべ、「見た目」「食感」「香り」「風味」+「各自が決める指標」の5つの指標それぞれに評価をし、五角形のグラフに記します。6〜7人のグループ単位で意見交換をしてから、グループ単位の発表になります。


主な感想・意見はこちら

【当日の宮崎野菜とその料理】日高氏のお話と併せてご参照ください
※植物分類表記は、系統発生解析による新しいAPG分類体系に基づく
※各野菜名をクリックすると詳細ページがご覧いただけます
西米良(にしめら)だいこん 平家かぶ
いらかぶ 黒皮かぼちゃ
京いも(たけのこいも)
【その他、全体の感想より】
  • 毎回大変興味深い内容で、勉強になります。食べくらべだけでなく、料理の試食では、調理特性などについても参考になることが多い。

  • なごやかに勉強することができました。

  • 材料の調達、大変ご苦労さまです。あまたあるこうした催しですが、他では、きちんと調理して食べくらべをすることはほとんどありません。次期もがんばってください。

  • 講師の話が大変おもしろかった。講師の話の時間をもう少し多めにとっていただきたい。また、料理は現地で食べている食べ方も紹介していただきたい。

  • 宮崎県の野菜の歴史、トップセールスの話など、おもしろかった。糸巻きだいこんの見た目の多様さ、色のきれいさ、市販されていない平家かぶやいらかぶなど、珍しい野菜をありがとうございました。京いもの揚げたものもおいしかった。日向夏のデザートがおいしく、うれしかった。

  • 食べくらべでは、味の違いだけでなく、同じチームの方々の出身や知識も話題にのぼり、勉強になります。

  • 食べくらべの京いもと、料理試食として煮て揚げた京いもでは味や食感が異なり、印象に残りました。今日の試食料理は、これなら家で作ってみたいと思うものが多かった。
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