第2章 野菜のおいしさに関する検討結果の概要
4 消費者アンケート調査
(1) 調査の実施概要
 
1) 調査対象と調査時期
   調査対象はNECBIGLOBEのモニター会員のうち「既婚女性」2,000名とし、北海道、東北、関東、甲信、北陸、東海、近畿、中国、四国、九州・沖縄の10地区の人口構成を考慮し、さらに、20代から60代の年齢別回答数が同一地域内では同数になるように設定した。また、アンケート調査は、インターネット上で平成18年12月19日〜25日に実施した。
2) 回答者の属性
   調査対象数2,000は、地区別の人口構成を考慮して配分した。
(2) アンケート調査結果
 
1) 回答者の家族構成、勤務形態、外食・中食の利用
 
回答者の家族構成
   回答数2,000のうち、47.3%が「子供と夫婦世帯(2世帯)」、33.3%が「夫婦2名世帯」、9.5%は「子供と夫婦に祖父母世帯(3世代)」、残り10.0%は親子等の「その他世帯」であった。
回答者の勤務形態
   回答の得られた2,000名の主婦の勤務形態をみると、59.5%が「専業主婦」となっており、18.1%が「主婦・パートタイム」、15.2%が「主婦・フルタイム」であった。なお、残り7.3%の「その他」は、自営業、自由業、会社役員等が含まれる。
外食や中食(弁当、総菜)の利用状況
   回答者の外食や弁当、総菜等の中食の利用状況をみると、「週1回」が35.4%と「ほとんど利用しない」(32.1%)を上回っている。ただ、「ほとんど毎日2回以上」(3.5%)、「ほとんど毎日1回」(6.1%)といったヘビーユーザーは10%以下であった。
 
2) 野菜の購買行動
 
野菜の購入先
   野菜の主な購入先をみると、圧倒的に「スーパーマーケット」(91.2%)が多く、その他では「八百屋」が15.9%、「親戚や近所の農家からいただく(又は購入する)」が15.7%、「農協・農家の直売所」(12.3%)、「生協店舗」(16.6%)、「生協の共同購入」(10.4%)となった。
生鮮野菜の購入頻度
   生鮮野菜の購入頻度は、「1回に2〜3日分をまとめて購入(2〜3日に1回購入)」が55.1%、「ほぼ1週間分をまとめて購入(1週間に1回購入)」が31.2%、「ほぼ毎日こまめに購入(毎日購入)」が11.5%であった。
野菜購入時に気を遣う点
   野菜を購入する時に留意している点としては、「鮮度」が95.5%と圧倒的に多く、次いで「価格」が82.9%であった。この他には「産地」が42.2%、「味の好み」が16.4%、「地場野菜」が15.2%、「有機野菜であること」が12.7%となった。
おいしさに関する情報への要望
   野菜を購入するときに「おいしさ」に関する情報(味、香り、食感等の食味に関する情報)が店頭に表示されることをどのように考えるかについては、「是非あった方が良い」との積極的な意見は23.9%と全体の四分の一、「どちらかといえばあった方が良い」が58.9%であり、合計すると82.8%が情報提供を望む回答であった。
価格とおいしさの関係
   多少価格が高くても「おいしさ」に関する情報が表示されていれば買いたいと思うかとの問いに対して、「値段が高くても買うと思う」は21.2%、「値段が高ければ買わないと思う」が52.3%、「分からない」も23.7%みられた。
おいしい野菜の価格プレミアム
   「おいしさ」に関する情報が表示されていた場合、「値段が高くて買う」と回答した424人に対して、おいしければ支払っても良いと思う価格水準を聞いたところ、「1割高前後」と「2割高前後」がそれぞれ45.8%と、この2つで全体の91.6%をしめた。
料理用途情報への要望
   野菜を購入する時に、サラダ向き、漬物向きなど、料理用途別の品種の情報が表示されることを望むか問うたところ、「是非あったほうが良い」は24.1%と約四分の一がこの項目を選択し、「どちらかといえばあった方が良い」(52.7%)を合わせると、76.8%が料理情報の提供にプラスの評価であった。
 
3) きゅうり
 
きゅうりの購入形態
   きゅうりを購入する時、バラ売り、袋売りなど、どのような形態のものを購入することが多いかをみると、「主にバラ売り(1本づつ選んで)」が33.9%、「主に袋売り」が27.7%、「バラ売りと袋売りを使い分ける」が29.7%と3つに分かれた。
きゅうりを使い切る日数
   購入したきゅうりを平均して何日で使い切るかを聞いたところ、「2〜3日」が52.9%と最も多く、次いで「4〜5日」が30.6%となっており、この2つで全体の8割強を占めた。
子供の頃と比較したきゅうりのおいしさ
   子供の頃食べたきゅうり比較して、現在スーパーマーケット等で販売されているきゅうりのおいしさを聞いたところ、「子供の頃に食べたきゅうりの方がおいしかった」との回答が58.0%と過半数となった。この他には「わからない」(21.9%)、「変わらない」(15.6%)、さらに、「現在の販売されている方がおいしい」はわずか4.7%に止まった。
きゅうりの品揃え状況
   いつも野菜を購入している店舗での、品種や栽培内容、産地等の異なるきゅうりの品揃え状況は、「2種類」が47.8%、次いで「1種類」が38.3%で、「3種類」になると10.3%に止まった。
品揃えに対する要望
   店頭に品種や栽培内容、産地等がことなるきゅうりが何種類程度品揃えされているこを望むかと問うたところ、「2〜3種類程度の陳列で良い」が72.2%となり、「多くの種類が陳列される方が良い」は8.7%に止まった。
家庭で良くするきゅうりの調理
   きゅうりを家庭で調理して食べるとき、どのように食することが多いをみると、「サラダ」が90.3%と圧倒的に多く、次いで「酢の物」が39.9%、「浅漬け」が31.7%であった。
おいしさの評価
   この夏に購入した「きゅうり」の「おいしさ」について満足しているかを聞いたところ、「非常に満足」が1.5%、「満足」が19.8%、「どちらかといえば満足」が53.6%となり、この3項目を合計すると70.5%であった。
不満な内容
   「不満」と回答した方々が、どのような点を不満と考えているかを整理すると、「味が薄い(無い)」との意見が104件と圧倒的に多く、次いで、「おいしくない」が58件、「鮮度が悪い」が54件、「みずみずしさが不足」が37件であった。
きゅうりの「おいしさ」
   きゅうりの「おいしいさ」は、どのように考えられている整理すると、シャキシャキとした「歯触りが良い」ことが「おいしさ」の条件との回答が87.4%と最も多く、次いで固有の「香りがある」ことが56.0%、さらに「甘みが少しあること」(38.1%)、「苦みがない」(31.0%)となった。
おいしさと形状
   きゅうりの「おいしさ」に関する情報(味、香り、食感等の食味に関する情報)が表示されていた場合には、形状が曲がっていても購入するかを問うたところ、「形にはこだわらない」が93.2%と大勢を占めた。
 
4) にんじん
 
にんじんの購入形態
   にんじんを購入する時、「主にバラ売り(1本づつ選んで)」、「主に袋売り」など、どのような形態での購入が多いかをみると、「主に袋売り」が65.4%と最も多く、「主にバラ売り(1本づつ選んで)」は11.9%、「バラ売りと袋売りを使い分ける」が16.0%となった。
にんじんを使い切る日数
   購入したにんじんを平均して何日で使い切るかを聞いたところ、きゅうりやほうれんそうと比較し、品質保持の期間が長いことを反映し「1〜2週間」が41.0%、「4〜7日」が39.8%となった。
子供の頃と比較したにんじんのおいしさ
   子供の頃食べたにんじんと、現在、スーパーマーケット等で販売されているにんじんのおいしさを比較してもらったところ、「わからない」が30.4%、「変わらない」が27.7%、「子供の頃に食べたほうれんそうの方がおいしかった」が23.8%、「現在販売されている方がおいしい」が18.1%となった。
にんじんの品揃え状況
   いつも野菜を購入している店舗での、品種や栽培内容、産地等の異なるにんじんの品揃え状況は、「2種類」が48.3%、次いで「1種類」が39.0%と、2種類以内との回答が90%を占め、「3種類」との回答は1割程度にとどまった。
品揃えに対する要望
   店頭に品種や栽培内容、産地等が異なるにんじんが何種類程度品揃えされているこを望むかと問うたところきゅうりと同じく「2〜3種類程度の陳列で良い」が69.9%と多く、「多くの種類が陳列される方が良い」は7.8%に止まった。
家庭で良くするにんじんの調理
   にんじんを家庭で調理して食べるとき、どのように食することが多いをみると、「カレー・シチュー」が83.5%、「和風煮物」が72.3%と圧倒的に多く、3番目の「きんぴら」(19.2%)とは53ポイントの差が認められた。
最近購入したにんじんの評価
   最近購入したにんじんの「おいしさ」について、満足しているかを聞いたところ、「非常に満足」が2.1%、「満足」が28.4%、「どちらかといえば満足」が55.1%となり、積極的な評価は三部の一に満たないがこの3項目を合計すると85.6となった。
不満な内容
   「不満」と回答したした方が、どのような点を不満と考えているかを整理すると、「味が薄い(無い)」が38件、「甘みがない」が29件、「香りがない」が27件であった。
にんじんの「おいしさ」
   にんじんの「おいしさ」をどのように考えているかを整理すると、「甘みがある」が91.3%、「色が濃い」(48.5%)、「固有の香りがある」(37.9%)、「歯ごたえがある」(23.8%)といった回答内容とんっており、この他の項目は、「柔らかい」(16.3%)、「固有の香りがない」(8.9%)であった。
 
5) ほうれんそう
 
ほうれんそうの購入形態
   ほうれんそうを購入する時、「大きな束(袋)」や「小さな束(袋)」など、どのような形態のものを購入することが多いかをみると、「主に大きな束(袋)」が40.0%、「主に小さな束(袋)」が21.8%、「大きい束と小さい束(袋)を使い分けている」が13.2%、内容としてはこれに準じる「決まっていない」が25.3%となった。
ほうれんそうを使い切る日数
   購入したほうれんそうを平均して何日で使い切るかを聞いたところ、「2〜3日」が60.4%と最も多く、次いで「1日以内」が21.7%と鮮度を保持できる時間の短さを反映し、この2つで全体の8割強を占める結果となった。
子供の頃と比較したほうれんそうのおいしさ
   子供の頃食べたほうれんそうと、現在、スーパーマーケット等で販売されているほうれんそうのおいしさを比較してもらったところ、「子供の頃に食べたほうれんそうの方がおいしかった」との回答が33.4%と三分の一(きゅうりの場合は58.0%)にとどまり、これに次いで「わからない」(30.4%)、「変わらない」(23.4%)であった。
ほうれんそうの品揃え状況
   いつも野菜を購入している店舗での、品種や栽培内容、産地等の異なるきゅうりの品揃え状況は、「2種類」が46.1%、次いで「1種類」が44.3%と、2種類以内との回答が90%を占めた。
品揃えに対する要望
   店頭に品種や栽培内容、産地等がことなるほうれんそうが何種類程度品揃えされているこを望むかと問うたところ、きゅうりと同じく「2〜3種類程度の陳列で良い」が70.0%と現状の品揃えに満足している回答内容で、「多くの種類が陳列される方が良い」は8.6%に止まった。
家庭で良くするほうれんそうの調理
   ほうれんそうを家庭で調理して食べるとき、どのように食することが多いをみると、「おひたし」が82.1%と圧倒的に多く、次いで「バター炒め」(42.3%)、「和え物」(33.9%)、「みそ汁の具」(20.5%)となった。
最近購入したほうれんそうの評価
   最近購入したほうれんそうの「おいしさ」について、満足しているかを聞いたところ、「非常に満足」が1.6%、「満足」が26.0%、「どちらかといえば満足」が54.5%となり、積極的な評価は三部の一に満たないがこの3項目を合計すると82.1%となった。
不満な内容
   「不満」と回答した方が、どのような点に不満と考えているかを整理すると「味が薄い(無い)」が54件と最も多く、次いで「甘みがない」49件、茎に赤身がない、鮮度が悪い等の「その他」が46件であった。
ほうれんそうの「おいしさ」
  ほうれんそうの「おいしさ」をどのように考えているかを整理すると、「甘みがある」が63.3%、「葉の緑色が濃い」が62.2%、これに次いで「あく味・えぐ味が少ない」(41.9%)、「根元が赤い」(36.6%)となった。また、「歯ごたえがある」、「柔らかい」、「葉が厚い」、「香りがある」も20〜29%の比率となまった。
(宮城大学 小 田 勝 己)
 
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