第3章 野菜のおいしさに関する検討結果
T 嗜好型官能評価結果
2 実施例
(3) にんじんの評価 その1 品質と好みの関係
   業界で高品質とされるものと、大量生産しやすい大衆価格の2種について比較評価した。
 
1) 試料
 
A:

ベータリッチ(青森産)

B:
向陽二号(北海道産)
   Aの方が大型で色が濃く、Bは芯に黄色い輪があった。
 にんじんは5mmの厚さ、大根、こんにゃくは1.5cmの角切りとし、昆布1%と鰹削り節(3%)を用いて炊き合わせとした。煮時間は短(25分)と長(30分)時間とした。といっても、火加減を調節しながらであるし、分量やなべの材質、大きさ、火力も影響するので、時間のみ挙げても意味をなさないが、時間差の影響もばらつきの要因として一応把握しておくためである。食塩はにんじんに対して0.5%とした。約40gずつを供した。
2) 方法
   きゅうりの評価と同時に昼休みに食事として評価した。評価は、にんじんとしての色彩の好ましさ、口中に広がるにんじんの風味(にんじん臭さ)の強さ、にんじんの風味の好ましさ、食感(歯切れ・噛み心地・舌触り・飲み込みやすさなど)の好ましさ、にんじんとしてみたときの甘味の強さ、にんじん自体の甘味の強さの好ましさ、うま味(こく、滋味などを含む深みのある味)の強さ、味全体の好ましさの9項目を7段階尺度で評価し、さらに品質のよいと思われる方と自分が食べたいと思う方を選ばせた。
 
図3-1 2種のにんじんの特性比較
3) 結果
   加熱時間の影響は若干見られたが、それを超えて、試料Aの方が色、風味の好ましさ、甘味の強さ、好ましさにおいて高い評点を得、味全体に好まれる傾向が見られた。また、品質の良さと食べたさに対する二者択一法による選択の結果を表3-1に示す。
 選択の理由として、Aを選んだ人はにんじんらしい風味と甘味が強く、味がしっかりしている、全体にしっかりしているなど、味の濃厚さやにんじんらしさの強さを高く評価していたのに対し、Bはにんじん臭くない、にんじんのくせがない、などAの支持者とは相反する理由を挙げた人が多かった。
 
表3-1 二者択一で選ばれた度数

加熱時間

品質のよいと思う方 食べたいと思う方
短時間
長時間
12
9
8
11
14
10
6
10
合計
21
19
24
16
   
   全体的にみると、若干Aが高く評価されているものの、平均的には大差がないということになる。価値観が分かれているものの平均を求めれば、正負が打ち消しあうので当然である。しかし、試料に差がないのではなく、どちらを好む人もいて、いわゆる盲千人目利き千人ともいうべきもので、その比率に大差がないと見なければならない。
(H18.10.17実施)
(東京農業大学教授 山 口 静 子)


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