第3章 野菜のおいしさに関する検討結果
U 分析型官能評価結果
1 きゅうり
(1) 実験方法
 
1) 試料
   試料としたきゅうりはフレスコ(以後K1),ずばり163(以後K2),エクセレント(以後K3),TB-2(以後K4),(夏さんご以後K5),フリーダム(以後K6)の6種である。試料は官能検査実施日1日目の当日に届いたが,K4のみは前日に届き,官能検査,物性測定試料調製までは冷蔵庫で保存した。また,保存日数による美味しさの違いを比較する為にK2,K4,K5については,官能評価実施日より4日前に収穫したものも試料とした。これらの保存は室温20℃にコントロールした部屋に出荷時のダンボールに入ったままおいた。
2) 時期
   官能評価,物性測定は10月24日と25日に行なった。
3) 官能評価
   きゅうりのおいしさを評価するための官能評価は生としてスティック状に切ったもの(以下きゅうり生)と薄切りにして塩もみしたもの(以下きゅうり塩もみ)について行なった。
 評価項目は外観・テクスチャー・香り・味の各総合的評価と総合評価の大項目,外観には色,種の感じを,テクスチャーには果皮のかたさ,果肉のかたさ,果皮と果肉の硬さのバランス,シャキシャキ感,みずみずしさを,味には旨味・こく,甘味,酸味,苦味,渋み、えぐみを小項目として加え,非常に良い(強い)を3,非常に悪い(弱い)を−3とした4〜7段階の評点評価法で実施した。なお,官能検査用紙は別表1に示した。
 パネルは本学調理系教職員と学生の計21名である。結果は集計して平均値の差の検定等を行って解析した他,総合評価に対する各項目の相関係数を求め,各試料の評価に関与する要因を探った。
 
1.

きゅうり生

   きゅうり生は全長を3等分し、中央部のみを試料としてこれを縦に4つ割にし,供試温度は室温とした。試料はパネラーに2個ずつ提供した。但し,不足する場合は追加する旨を伝えた。きゅうり生は保存した試料(以降保存有)も含めて実施した。
2.
きゅうり塩もみ
   きゅうり塩もみはきゅうりの両端を2cmずつ切り落とし,スライサーで1.5mm幅の輪切りにした。きゅうり重量の1.0%の精製塩(専売公社製)を入れて十分に混ぜ合わせ、室温20〜30℃中に1時間放置(途中2回全体を混ぜ合わせた)後、きゅうり重量の60%になるように絞り,官能評価の試料とした。供試温度は15〜18℃にコントロールし,提供重量は十分な量とした。
4) 物性の測定
   きゅうりの生について測定を行なった。
 
1.

試料調製

   花先から3cmは切り落として1.5cm長さにカットし,それぞれを縦半分にし,果皮のかたさを測定するものと果肉のかたさを測定する試料とした。果皮のかたさを見るために果皮から果肉に向かって測定する試料(以降果皮)は,長さ1.5cm縦半分に切った後,幅1.5cmに整え,高さはそのまますなわち,きゅうりの直径の半分とした。果肉のかたさは果肉と種の間の果肉を測定試料(以降果肉)とし,高さは1cmになるように測定直前にカットした。
2.
測定条件
   物性の測定は山電叶サクリープメータRE2-3305Bを用い,レオメータ試験モード(対応ソフト:破断強度解析)で測定した。果皮,果肉ともロードセルは2kg,測定速度は1o/sec,歪率は100%,プランジャーは2mmの円柱で行なった。果皮は,果皮から果肉に向って、イボをさけて測定した。果肉は果皮と種のほぼ中間点を測定した。
(女子栄養大学教授 松 田 康 子)


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