第3章 野菜のおいしさに関する検討結果
U 分析型官能評価結果
2 にんじん
(3) まとめ
   にんじんについても各パネラーの総合評価に対する各評価項目の相関係数を表U−3に示した。
 

表U-3 官能評価の総合評価と各項目の相関(にんじん)

試料 総合評価との相関係数(r値) 総合評価
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 平均 SD
C1
C2
C3
C4
C5
C6
0.1
0.1
0.2
0.2
0.3
0.4
0.2
0.2
0.3
0.3
0.2
0.4
-0.2
-0.2
-0.2
-0.2
-0.0
0.0
0.5
0.5
0.2
-0.2
-0.0
0.5
0.5
0.7
0.4
-0.0
0.1
0.1
0.5
0.6
0.3
0.4
0.3
0.3
0.2
-0.2
-0.3
-0.1
-0.2
-0.4
0.5
0.4
0.5
0.7
0.7
0.3
0.2
0.4
0.6
0.6
0.3
0.5
0.3
0.3
0.6
0.7
0.2
0.6
-0.4
-0.1
-0.2
-0.6
-0.6
-0.3
-0.0
0.1
0.1
0.0
-0.2
-0.4
0.9
0.9
0.8
1.0
0.8
1.0
-1.43
-0.14
0.29
0.52
0.38
-0.71
0.75
1.15
0.96
1.17
1.12
1.19

相関関数 r≧0.4 or r≦-0.4

<生>1:色、2:外観の総合的評価、3:かたさ、4:歯ざわり、5:みずみずしさ、6:テクスチャの総合的評価、7:にんじんらしい香り、8:香りの総合的評価、9:うま味・こく、10:甘み、11:苦み・えぐみ、12:にんじんらしい味、13:味の総合的評価

試料 総合評価との相関係数(r値) 総合評価
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 平均 SD
煮物
C1
C2
C3
C4
C5
C6
0.5
0.3
0.6
0.6
0.4
0.2
0.6
0.4
0.6
0.6
0.5
0.3
-0.2
0.0
-0.1
-0.1
-0.1
-0.4
0.4
0.6
0.8
0.7
0.6
0.2
0.5
0.7
-0.0
0.3
0.4
0.3
0.6
0.7
0.8
0.7
0.7
0.7
-0.4
-0.6
-0.0
-0.2
-0.2
-0.5
0.6
0.7
0.9
0.8
0.6
0.7
0.0
0.1
0.5
0.7
0.4
0.3
0.0
0.1
0.6
0.3
0.4
0.2
-0.2
-0.1
-0.3
-0.3
-0.2
-0.7
-0.5
-0.6
-0.0
-0.1
-0.2
-0.1
0.6
0.4
0.4
0.5
0.4
0.6
0.9
0.8
0.9
0.9
0.7
0.9
-0.81
-0.10
0.43
0.48
0.14
-0.48
0.93
1.18
1.29
1.08
10.1
1.21

相関関数 r≧0.4 or r≦-0.4

<煮物>1:色、2:外観の総合的評価、3:かたさ、4:歯ざわり、5:ざらつき、6:テクスチャの総合的評価、7:にんじんらしい香り、8:香りの総合的評価、9:うま味・こく、10:甘み、11:苦み・えぐみ、12:にんじんらしい味、13:味のなじみ・しみこみ 、14:味の総合的評価

   
 
にんじん生
   大項目との相関を見ると味の総合的評価で,全ての試料で強い相関であった。続いて香りが一つの試料を除いてやや強いから強い相関であった。小項目を見ると全ての試料で高い相関を示すものはないが,旨味・コクがC1,C5以外でやや強い相関を示した。
にんじん煮物
   大項目では全てと相関が強い傾向であった。小項目をみると全ての試料で相関がやや強かったのは味のなじみ・しみこみであった。歯触りはC6以外でやや強い相関を示し,特にC3,C4では強い相関であった。
以上よりにんじんの生では,味の旨味・コクが若干関与していた。煮物で一番相関が強かったのは味のなじみ・しみこみであったが,これは味付けに関わるかと考えられる。それは,総合評価の平均で低かったC1やC6で共に0.6とやや強い相関で,味のなじみ・しみこみが不足との評価が関与していると考えられる。このC1は昔ながらの品種のにんじんで,しっかりした味でないとなじみ・しみこみが悪いと捉えられたかと思われる。とすると,この評価項目は味付けで変化することが推察される。次に相関の大きかった評価項目は歯触りであり,加熱によるテクスチャーの変化の関与が大きいと考えられる。
(女子栄養大学教授 松 田 康 子)


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