第3章 野菜のおいしさに関する検討結果
U 分析型官能評価結果
3 ほうれんそう
(1) 実験方法
 
1) 試料
   試料としたにほうれんそうは朝霧(以降S1),雪美菜(以降2S),サンピア(以降S3),ビリーブ(以降S4),ミストラル(以降S5),601(以降S6)の6品種である。官能評価実施日初日の朝に配送されたものを試料とした。
2) 時期
   官能評価及び物性測定は,1月15日,16日に実施した。
3) 官能評価
   にんじんのおいしさを評価するための官能評価は,茹でただけで調味していないもの(以降ほうれんそう茹で),茹でたあとお浸しに調製したもの(以降ほうれんそう浸し),生を炒めたもの(以降ほうれんそう炒め)の3種について行なった。
 評価項目の大項目はきゅうりと同様で,小項目として外観には色を,テクスチャーにはかたさ,すじっぽさ,ふっくらさを,味には甘味,アクっぽさを加え, 4〜7段階の評点評価法で実施した。パネルはきゅうりと同様である。
 
1.

ほうれんそう茹で

   根は株がバラバラにならないように切り落としたもの300gの根に5mmの深さで十字に切込みを入れた。ほうれんそう重量の8倍重量の湯で1分40秒〜2分20秒間茹で,直ちに氷水で冷却した。大よそ20秒後に引き上げ,5分間ざるの上に置いて生重量の100%重量し,根を2cm切り落として5p長さに切って官能評価の試料とした。供試温度は室温とした。
2.
ほうれんそう浸し
   ほうれんそう300gを茹でて水さらしまではほうれんそう茹での試料と同様に調製し,5分間ざるの上に置いた後に生重量の80%重量に絞り,根を2cm切り落として4p長さに切り,だし150g(ほうれんそう重量の50%)としょうゆ16.5g(ほうれんそう重量の0.8%塩分)を合わせた調味液に入れて混ぜ,試料とした。供試温度は室温とした。
2.
ほうれんそう炒め
   ほうれんそうは250gとなるように根を2cm切り落とし,5p長さに切り,フライパンの表面温度が150℃付近になったら,サラダ油を入れて30〜40秒間熱して200℃になったことを確認し,ほうれんそうと塩を入れて中火強のガス火で1分40秒間攪拌しながら加熱をし,器に移して直ちに官能評価の試料とした。
4) 物性の測定
   ほうれんそうの生のまま(以降ほうれんそう生)と茹でたもの(以降ほうれんそう茹で)について葉と茎について測定を行なった。
 
1.

試料の調達

   ほうれんそう生の葉は外葉の3枚目より3〜4枚目までの葉の大きいものを選び,3枚を重ねて中心の太い葉脈を切り落とし,1×2cmにカットしたものを試料とした。ほうれんそう生の茎は,外葉の3枚目の葉を測定試料として根元から3cmは切り落とし,そこより1.5cm長さにカットして試料として用いた。
 ほうれんそう茹では,官能評価のほうれんそう茹でと同様に調製した後,物性の生試料と同様に調製した。但し,葉の重ねる枚数は5枚とした。
2.
測定条件
   ロードセルは何れも2kgであるが,プランジャーはほうれんそう生の葉はカッターの峰,茎は5oの円柱,茹での葉は3o円柱,茎はカッターの刃,速度は茹での茎のみで1.0o/sec,他は0.5o/sec,歪み率は100%とした。また,この試料は密着性が悪いので,予備荷重を行なって測定した。
(女子栄養大学教授 松 田 康 子)


>> 野菜のおいしさ検討委員会報告書 目次へ