第4章
V 専門家アンケート調査結果
1 専門家への調査
 きゅうり、「にんじん、ほうれんそうに対するおいしさに関する専門家アンケート調査では、種苗会社(1)、総菜メーカー(3)、野菜加工(8)、卸、小売等のその他(3)、料理研究家(4)、外食(2)の21名・企業から回答を得た。
 


2 きゅうりのおいしさ
 これまでの経験の中で、「おいしい」と思われた品種としては「フリーダム」、「四川きゅうり」、「四葉きゅうり」等の意見が寄せられた。「おいしい」きゅうりの品質では、大きさは「こだわらない」、MあるいはS、緑が濃く、どちらかといえば「甘み」と「食感」が重視され、「イボがあるもの」との意見が多い。ただ、加工関連では、カット加工する関係から大きさ、果色にこだわらないケースや、「イボはこだわらない」あるいは衛生管理面から「ない方が良い」との声もみられた。
 実需者として重視する点では「鮮度」、「産地」、「生産者」、「農薬」、きゅうりに求める内容では「歯切れ」、「食感」に係わる意見がいくつかみられた。また、品種名の表示に対しては、野菜加工は「必要ない」が多かった。
 今と昔のおいしさの比較は、「まずくなった」との声が多く、「変わらない」も7名みられた。
 


3 にんじんのおいしさ
 これまでの経験の中で、「おいしい」と思われた品種としては「ベータリッチ」、「千浜にんじん」、「雪下にんじん」、「黒田五寸」、「京にんじん」、「金時にんじん」」等の品種名がみられた。「おいしい」にんじんの品質は、「総菜メーカー」、「野菜加工」を中心に大きさ、形状は「こだわらない」が多く、さらに全般的に色が濃く、「甘み」、「食感」重視との内容が多い。ただ、用途による必要度の違いか「香り」については意見が分かれた。
 実需者として重視する点では「品種」、「農薬」、「産地」、「価格」等の記述が目だったが、中には「情報より実物」との声あった。にんじんに求める内容では「野菜加工」を中心に「芯が太くないもの」、「黄色い部分の少ないもの」、「料理研究家」の中に「葉付のもの」との声もあった。また、品種名の表示に対しては、回答者の属性に関係なく意見が分かれ、「料理研究家」から「その他」として「和風料理(味付け)」には「長にんじん」が向いているとの意見が寄せられた。
 今と昔のおいしさの比較では、全般的に「おいしくなった」との声が多かった。
 


4 ほうれんそうのおいしさ
 これまでの経験の中で、「おいしい」と思われたものとしは、「寒締めほうれんそう」、「ちじみほうれんそう」、「赤軸ほうれんそう」が目についた。「おいしい」ほうれんそうの品質は、大きさはMかL、総菜メーカーや野菜加工では「葉が厚く」、「色が濃い」ものとの声が多いが、「料理研究家」では用地により求める内容が違うため、葉の「厚さ」や「色」にこだわらないとの意見がみられた。また、「甘み」、「歯ごたえ」は全般的に重視されているが、「苦み・えぐ味」は「ない方良い」と「少しあった方が良い」に分かれた。
 実需者として重視する点では「産地」、「生産者」「品種」、「農薬(安全度)」、「鮮度」、「実物」等の記述であった。ほうれんそうに求める内容では「大きな葉のもの」、「少人数家族に合わせた分量」などがあった。また、品種名の表示に対しては、「野菜加工」や「料理研究家」を中心に「必要ない」の声が多かった。
 今と昔のおいしさの比較は、周年化したこともあり全般的に「おいしくなくなった」が多くみられた。
(宮城大学教授 小 田 勝 己)
※専門家アンケート調査結果表はPDF形式の一覧でご覧ください。


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