第1章 はじめに
1 趣旨
 農林水産省では、平成18・19年度から農業・食品産業競争力強化支援事業実施要綱(平成17年4月1日付け16生産第8264号農林水産事務次官依命通知)に基づき、知識集約型産業創造対策事業を広く一般に公募することとなった。

 野菜と文化のフォーラムでは、この事業で「野菜のおいしさに係る指標等を策定」することで昨年に引き続き応募し採択された。

 生産者等が、野菜を供給するにあたり、消費者に好まれる品質として、鮮度のよさ、外観のよさ、食味のよさ、栄養成分の多さ等を意識している。しかしながら、今までにこれらの要因を総合的に考慮した「おいしさ」に着目し、品質の評価指標として、検討した取組はみられない。また、野菜のおいしさに係る指標の確立については、生産者、流通関係者から強い期待が寄せられている。

 このため、野菜のおいしさに係る指標、野菜のおいしさに係る共通認識の整理、野菜の官能評価試験方法の検討を行うこととした。

(1) 野菜のおいしさ検討委員会を設置し、きゅうり(果菜類)、にんじん(根菜類)、ほうれんそう(葉茎菜類)、レタス(葉茎菜類)、だいこん(根菜類)等を対象として、@野菜のおいしさ調査部会、A野菜官能評価試験検討部会における検討課題等の協議・検討し、各部会で検討結果を踏まえて野菜のおいしさについて検討を深めた。
   
(2) 野菜のおいしさ調査部会においては、対象野菜等における次の取組を実施した。
 
各専門家の野菜のおいしさに係る共通認識の整理、評価指標作成するための調査・検討を行った。
野菜のおいしさに関する評価指標を表示し、販売して消費者の購買動向を調査・検討を行った。
   
(3) 野菜官能評価試験検討部会においては、対象野菜について官能評価試験を実施することにより、官能評価試験の確実性、再現性等を求めて野菜のおいしさに係る嗜好型及び機器分析型官能評価試験を実施した。
   


2 事業の実施方法
(1) 野菜のおいしさ検討委員会を設置し、きゅうり(果菜類)、にんじん(根菜類)、ほうれんそう(葉茎菜類) 、レタス(葉茎菜類)、だいこん(根菜類)を対象として、@野菜のおいしさ調査部会、A野菜官能評価試験検討部会における検討課題等を協議・検討し、各部会での検討結果を踏まえて野菜のおいしさの指標となる基礎データを取りまとめた。
   
  野菜のおいしさ検討委員会
 
  生駒 泰正 全国農業協同組合連合会山口県本部園芸畜産部次長
  梅谷 羊次 (株)すかいらーく すかいらーくカンパニー代表COO
  戸井 和久 (株)イトーヨーカ堂青果部シニアマーチャンダイザー
  堀江 秀樹 野菜茶業研究所野菜・茶の食味食感・安全性研究チーム長
  松本 仲子 女子栄養大学名誉教授
  宮崎 丈史 千葉県農業総合研究センター生産技術部長
山口 静子 東京農業大学応用生物科学部栄養科学科教授
  渡邉 穎悦 日本種苗協会会長、(株)渡辺採種場社長
    (※は委員長)
     
(2) 野菜のおいしさ調査部会においては、にんじんについて次の取組を実施した。
 
品種固有の特徴を表示、試食を実施した上で消費者に販売し、購買動向を調査
購入者にアンケート調査を実施し、購買動機、表示の効果等の調査
   
  野菜のおいしさ調査部会
 
  大崎 善保 東京デリカフーズ(株) 常務取締役
  野崎 壱子 フリーランス・ジャーナリスト
  堀江 秀樹 野菜茶業研究所野菜・茶の食味食感・安全性研究チーム長
  三保谷 智子 女子栄養大学出版部栄養と料理編集委員
宮崎 丈史 千葉県農業総合研究センター生産技術部長
    (※は部会長)
(3) 野菜官能評価試験検討部会においては、対象野菜について嗜好型官能評価及び分析型官能評価を実施し、野菜のおいしさの指標化に向け、様々な角度から検討を行った。
   
  野菜官能評価試験検討部会
 
  安部 新一 宮城学院女子大学学芸学部生活文化学科教授
  荒井 慶子 元女子栄養大学講師
  草間 壽子 (株)ワーズワークス代表
  柴田 温 全国農業協同組合連合会営農総合対策部
営農・技術センター農産物商品開発室長
  丹羽 真清 デザイナーフーズ(株)代表取締役
山口 静子 東京農業大学応用生物学部栄養科学科教授
    (※は部会長)
(4) 本報告書による供試用品種の取扱
   本報告書を取りまとめるに当たり、各品目の供試用品種の選定は、意図的に行ったものではなく、広く一般に栽培され、市販されているものを官能評価試験、機器分析試験に使用している。本報告書では品種名を出来るだけ明確にしているが品種間の優劣を評価したものではなく、あくまでも野菜のおいしさに焦点を当てたものであり、品種間競争を求めているものではないことをご理解いただきたい。


3 本報告書の取扱
 本報告書は、農林水産省の補助事業により得られた成果であり、農業関係者、国内外の学会、マスコミ等に広く公表し、積極的に事業成果の公開・公表に努める。また、新聞、図書、雑誌、論文等に事業成果を発表する場合は、本事業による成果であること、論文の見解が農林水産省の見解ではないことを明記した上で、広くご利用いただきたい。
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