第2章 野菜のおいしさに関する検討結果の概要
2 レタスに関する官能評価と機器分析の関係
 レタスの官能評価はパネル20名で9月に行い、同じ試料について機器を用いて糖分析、テクスチャー評価を行った。

 官能評価においては、非常にデータにばらつきが大きかった。特に苦味の評価に関しては0〜3の4段階で強度評価した結果、苦味が非常に強いと表評される試料について、苦味0と評した者が、別の試料については苦味3と記するなど、試料が均一であるとすれば考えられないような結果を示した。今回の試料は、玉全体から手でむしって試料とし、また苦味は葉の先端よりも付け根付近で強いなど部位間で差があるため、喫食部位が一定でないことが、データのばらつきを大きくしているものと推定される。

 官能評価の平均値でみたおおざっぱな傾向ではあるが、過熟のものは適期に収穫したものよりも総合評価が低く、苦味の強いものは嫌われる傾向にあった。

 一方、機器分析により糖含量を分析した。多くの野菜では糖含量の高いものの、食味点が高い傾向にあるが、レタスの場合は糖含量と官能評価の食味や総合評価の間に一定の関係は見られなかった。また、テクスチャー(食感)評価は機器の形状の都合で、葉の先端部分を用いた。レタスにおいては部位間で食感は異なるはずであるが、官能評価においては喫食部位を特定しなかったこともあり、機器評価と官能評点の間に一定の傾向は見いだせなかった。

 レタスについては、部位間差が大きいことを前提とした官能評価法を検討する必要がある。また、成分分析項目としては、糖含量よりも苦味成分を優先的に定量する必要があるが、現在のところ手法が確立されていない。レタスは食感が重要であるが、テクスチャーについても、葉菜類については、レタスも含めてよい評価方法が開発されていない。レタスのおいしさについて、官能評価と機器分析を組み合わせて評価することは、適切な手法を欠くため、現状では困難と考えられる。

(野菜茶業研究所 堀 江 秀 樹)


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