第2章 野菜のおいしさに関する検討結果の概要
3 きゅうりに関する官能評価と機器分析の比較
 きゅうりについては9月及び10月に官能評価と機器分析を行った。9月には、6品種の品種間差、10月は2品種について貯蔵による嗜好性の変化を調査した。

 これらの試験の結果、おいしいとされるきゅうりについては、ブドウ糖、果糖の含量が高かった。糖含量の測定は手間を要するが、血糖値測定用センサーの利用により簡便化できる可能性が示唆された。

 10月の試験の結果、貯蔵により食感(歯ごたえ)が増はす傾向が官能評価により指摘された。このことは機器評価ではCI値(パリパリ度)の増加として評価できた。一方で貯蔵したきゅうりは官能評価では甘味が弱まり、またジューシーさも低下し、総合評価も低下した。甘味の低下は糖含量の低下を反映するものと考えられるが、ジューシーさについては、水分含量を反映するものではなかった。

 9月の品種比較試験において、評価が高かった品種については、糖含量はBrixが高く、評価の低かったものは、逆に糖含量やBrixが低かった。一方で、テクスチャーの機器評価において、貫入硬度は、先部と尻部で大きく異なることが明らかにされ、喫食部位を揃えることが、官能評価の精度を上げる上で重要であると示唆された。

 これらのことから、きゅうりのおいしさの評価の上では糖含量の測定が重要であり、食感についても、従来からある貫入試験だけでなく、CI値等との組み合わせにより、かなり詳細に機器評価できそうである。ただし、ジューシーさやみずみずしさを評価する客観的な方法は開発されていない。

(野菜茶業研究所 堀 江 秀 樹)


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