第3章 野菜のおいしさに関する検討結果
W 大きさ別ほうれんそうの品質とおいしさ
 ほうれんそうのおいしさに関する調査の一環として、大きさの異なるほうれんそうの食味と成分を比較することにより、成分に及ぼす生育程度の影響とおいしさに関係する要因を検討する。このために、同一圃場において同一管理によって生産されたほうれんそうを用い、品質と食味に関する調査を実施した。
1.試料
 茨城県の江戸崎町K農園で露地栽培されたほうれんそう「ヴィジョン」(トキタ種苗)のMS級とL級を供試した。播種日はMS級が10月22日(在ほ期間:約60日)、L級が10月10日(在ほ期間:約70日)であった。MS級とL級の栽培上の差は播種日のみであり、管理等の作業は同様に行われた。

 収穫したほうれんそうは直ちに出荷形態に調製され、宅配便により、食味評価会場である女子栄養大学と、分析を行う千葉県農業総合研究センターに配送された。

2.品質調査方法
 食味評価と品質分析は12月21日に、以下のように行った。
 1)食味評価
 食味評価は、女子栄養大学松柏軒にて行った。供試試料は、松柏軒厨房で調理した“お浸し(茹でて軽く絞る、調味料なし)”と“油炒め”の2種類であり、調理直後に大皿に盛って供した。

 評価パネルは52名であり、その属性は以下に示したように、性別では男性がやや多いが、年令は20代から70代までほぼ偏りなく構成されていた。
・性別 男性:65%、女性:35%
・年令 20代〜30代:25%、40代〜50代:35%、60代〜70代:40%

 食味評価は、一対比較法によって行い、図1の評価用紙を用いて、どちらかおいしい方を選択させた。なお、評価時にはパネルの半数にAとBを取り替えて供した。

 2)品質分析
 ほうれんそうの分析は千葉県農業総合研究センターで行い、分析前に1株重や葉長を測定した後、葉柄部と葉身部に分けて調査した。全体を表す値は、別に測定しておいた各々の重量比から算出した。

 糖と硝酸の含量は、試料を細切後一定量を計り取って80%熱エタノールで抽出し、その後定法により、糖は高速液体クロマトグラフィー、また硝酸はサリチル硫酸法により測定した。ビタミンCは、試料を5%メタリン酸液とともに磨砕・抽出後、インドフェノール法により定量した。

          評価試料:

          性別: 女    男         年令:     才

二つのサンプルを評価し、より美味しい方のサンプル記号を○で囲んでください(繰り返し食べても結構です。同程度と思われてもどちらかを選択してください)。

どちらがより美味しかったですか?(Aから味わってください)

A                  B

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図1 食味評価に用いたシート

(千葉県農業総合研究センター 宮 崎 丈 史)
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