だいこんおろしについて平本・松本3)が官能評価している。その結果、甘味のあるものが好まれ、辛味、苦味が強すぎるものは嫌われる傾向があった。いっぽうで、味の良否について甘味とは正の相関を示し、還元糖量とも相関がみられた。また用いたおろし器具の種類によっても評価が異なった。また品種間の嗜好性の差は、煮物にすることによって小さくなると報告されている。河村ら4)も辛味だいこんと青首だいこんを比較しながらおろしの評価を行った。4-メチルチオ-3-ブテニルイソチオシアネートは辛味だいこんで多く、青首だいこんでは本成分は尾部には頭部の2倍以上含まれていた。味については、辛味、苦味は尾部が強く、甘味、うま味については頭部が強かった。また、おろし辛味だいこんを60分放置すると辛味は弱くなった。
西村5)はおろしだけでなく、千切りやいちょう切り、加水加熱のそれぞれの場合について部位差を官能評価している。だいこんおろしでは、下部が辛く、上部、中部がおいしいと評価された。また、千切り、いちょう切り、加水加熱では上部がおいしいと評価された。
だいこんの品質評価法は小宮山6)が検討している。テクスチャー測定には直径25mm円筒プローブで圧縮する方法で、品種間の差が求められ、官能評価と一致した。浅漬け、煮物の場合の加工条件についても記載されている。
西村・榊原7)はだいこんの品種や部位毎のアミノ酸含量とアミラーゼ活性を測定している。著者らによるとグルタミン酸はアミノ酸の半分以上を占めているため、旨味に影響するとされるが、分析値には疑問が残る。アミラーゼ活性については、上部に多いとされる。
だいこんは日本の食卓に欠かせない野菜のひとつである。おろしだけでなく、煮物として食べる場合も多いはずであるが、研究は辛味を中心としておろしに集中している。煮ることによる食感の変化や出汁のしみこみ等興味深い部分が多く残されており、研究の深化が待たれる。
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