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第2章 野菜のおいしさに関する検討結果 |
X 官能評価によるピーマンの調理適性 |
D 調理方法の比較 |
図6に「生」、「炒める」、「焼く」、「揚げる」、「茹でる」を行ったピーマンの官能評価平均値をまとめ、比較した。調味料の影響を小さくするために塩で調味した結果を用いた。
全体の総合的評価をみると 「炒める」、「揚げる」の評価が高く、次いで「茹でる」、「焼く」の順であった。「炒める」、「揚げる」間には果肉の硬さ以外には有意な差がみられず、「炒める」、「揚げる」ことにより、外観の色、つやの評価が高くなり、味では苦味が弱まり、旨味が強くなるために味の総合評価も向上した。テクスチャーでは加熱するといずれの調理方法でも軟らかくなるが、「炒める」、「
揚げる」など油を伴い高温、短時間で処理したほうが、「煮る」「焼く」調理方法より好まれた。特に「焼く]は直火で焼いた後皮を除いたため軟らかくなりすぎ、テクスチャーの評価は低下した。
以上からピーマンは「炒める」、「揚げる」など油を使用する調理方法が、色、つやがよくなり、油の風味が加味されピーマンの香りが弱まり、苦味が弱くなり、旨味が増す。テクスチャーは、煮物のように柔らかくするより皮の硬さが残っている方が好まれるといえよう。また調味は、塩よりも香りとうまみ成分が含まれるしょうゆのほうが評価を高める。また、だし、牛肉などの、動物性食品を併用したほうが高い評価が得られた。肉、だし、しょうゆを加えることでグルタミン酸、イノシン酸など相乗的な効果が得られたものと思われる。中国料理の青椒肉絲、ピーマンの肉詰めなどはこの条件を満たした代表的な料理であろう。 |
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(女子栄養大学短期大学部 小川久惠)
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