子供が嫌う野菜の1つであるピーマンについて、嫌われる理由をアンケート調査によって検討した。加えてピーマンのソテーに子供が好む肉、うまみのあるじゃこ、調味料として、炒めて風味とうまみが出る醤油を併用し、ピーマンのみの塩味のソテーとあわせて3種の料理を官能評価し、子供の嗜好の変化を比較検討した。
その結果以下のような知見を得た。
(1)アンケート調査の結果から、
ピーマンを嫌いと答えた児童は45%、好きと答えた児童は55%で好きが嫌いを10%上回った。
ピーマンを嫌う理由と、好む理由は共通しており、ピーマン独特の味としての苦味、においがあげられ、嫌う児童はこれらを嫌い、好む児童はこれらを好んでいた。色については嫌いな児童は全体の8%と少なく、食感についてはピーマンのシャキシャキ感が好まれ、よく加熱しぐにゃとした軟らかさは好まれない傾向であった。
(2)官能評価の結果から
ピーマンを嫌いと答えた児童の中の約8%はピーマンをまったく食べられず、3種の料理間には嗜好の変化はみられなかった。
ピーマンを嫌いなグループで、上記の8%を除いた残りの児童は肉入りソテーやじゃこ煮に料理すると旨みが加わり、ピーマンくささ、苦味が緩和されたと感じ、味および料理全体の評価が上った。
ピーマンを好きなグループは、ピーマンのみのソテーの評価が、ふつうからよいと高い評価であったが、肉入りソテー、じゃこ煮に対しては、それぞれの評価が更に上った。
以上から、ピーマンが食べられないほど嫌いな食品である特に嫌いグループについては、嫌いを改善する事は容易ではないと思われるが、3種の料理の評価比較でみられるように、調理方法、併用する食品、調味料を工夫することによって、嫌いを改善させる事は可能と思われる。
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