第6章 野菜の調理方法による嗜好の変化―小学生のピーマンの嗜好の変化―
女子栄養大学短期大学部 小川 久惠
4 まとめ

 子供が嫌う野菜の1つであるピーマンについて、嫌われる理由をアンケート調査によって検討した。加えてピーマンのソテーに子供が好む肉、うまみのあるじゃこ、調味料として、炒めて風味とうまみが出る醤油を併用し、ピーマンのみの塩味のソテーとあわせて3種の料理を官能評価し、子供の嗜好の変化を比較検討した。

 その結果以下のような知見を得た。

(1)アンケート調査の結果から、
 ピーマンを嫌いと答えた児童は45%、好きと答えた児童は55%で好きが嫌いを10%上回った。

 ピーマンを嫌う理由と、好む理由は共通しており、ピーマン独特の味としての苦味、においがあげられ、嫌う児童はこれらを嫌い、好む児童はこれらを好んでいた。色については嫌いな児童は全体の8%と少なく、食感についてはピーマンのシャキシャキ感が好まれ、よく加熱しぐにゃとした軟らかさは好まれない傾向であった。


(2)官能評価の結果から
 ピーマンを嫌いと答えた児童の中の約8%はピーマンをまったく食べられず、3種の料理間には嗜好の変化はみられなかった。

 ピーマンを嫌いなグループで、上記の8%を除いた残りの児童は肉入りソテーやじゃこ煮に料理すると旨みが加わり、ピーマンくささ、苦味が緩和されたと感じ、味および料理全体の評価が上った。

 ピーマンを好きなグループは、ピーマンのみのソテーの評価が、ふつうからよいと高い評価であったが、肉入りソテー、じゃこ煮に対しては、それぞれの評価が更に上った。

 以上から、ピーマンが食べられないほど嫌いな食品である特に嫌いグループについては、嫌いを改善する事は容易ではないと思われるが、3種の料理の評価比較でみられるように、調理方法、併用する食品、調味料を工夫することによって、嫌いを改善させる事は可能と思われる。



5 謝辞

 この実験を行うに当たり、多大なご協力を下さいました、駒込小学校の田中信夫校長先生始め、諸先生方、児童の皆様に心よりお礼申し上げます。



参考資料
  1. カゴメ株式会社、子供の野菜摂取に関する報告書、p1−10(2008)
  2. らでぃっしゅぼーや株式会社 野菜に関する意識調査、p5−7(2008)
  3. 特定非営利活動法人野菜と文化のフォーラム 野菜のおいしさ検討部会報告書、p91(2008)


>> 野菜のおいしさ検討委員会 平成21年度報告書 目次へ