第7章 ピーマンの香りに関する調査
お茶の水女子大学大学院 久保田 紀久枝
5 ピーマン青くさ臭の鍵成分メトキシピラジンの成熟や調理による変化

 2−メトキシ−3−イソプロピルピラジンは、ピーマンの匂いと評される匂いを持ち、閾値が非常に低く微量でもよく匂うため、ピーマン香気の鍵化合物といわれている。このメトキシピラジンの全香気成分に占める含有割合を調べ、図3にまとめた。

 未熟ピーマンよりも成熟した方が多く、大きなピーマンの方が青臭いことが分かる。一方、完熟するとその量は顕著に減少することが分かった。赤ピーマンではピーマン臭が弱くなることが示されたが、全くなくなるわけではないため、赤ピーマンもピーマン臭を持っており、嫌いな人はこのにおいに敏感であることより、赤ピーマンも青臭さのため好まない可能性が示唆された。

 また、この物質は加熱によっても減少はしないことも示され、加熱調理してもピーマン臭さを抑えることは難しいのではないかと推察された。


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