奉賢区を後にし、続いて上海市浦東区にある孫橋農場園区を訪ねた。園区は90年代初め、海外から輸入された農業技術などがこの地に適応するかどうかを試すモデル地区として国が整備し、種苗、花卉、農業関連企業約60社を誘致した。税金などの優遇措置があるそうだ。上海孫橋農業科技股●(にんべんに分)有限公司は1995年に設立。副責任者の周志疆(Hhou
Zhi Jiang)さんが案内くださった。この研究所は、研究、生産、加工、観光の機能を備えている。主な活動は次の4つ。
1.種、育種の研究
2.温室、ハウス栽培の研究
3.ガラス温室などの製造
4.食品加工
観光農業も実施している。上海の子どもたちは、もう農業がどういうものかわからなくなっているので、学校から学びにも来るのだそうだ。日本と変わらない食育状況が意外だった。
入り口には金正日や胡錦濤の来訪写真があり、日本からの来訪も多い。毎年、研究員を日本に勉強に行かせていて、周さんは3年前に岐阜県で勉強したとのこと。日本からは種などの投資も盛んで、すいかやトマトの接ぎ木などの技術指導にも訪れている。
開発室で作られたきゅうり、かぼちゃ、トマト、きのこ類、パプリカなどは高級野菜として出回ったり、きのこの袋包装、とうもろこしの真空パックなどの包装技術の普及にも貢献しているようだ。
ここでの栽培はPCで管理されている。培地はピートモス+バーミキュライト、農薬は使わず、栄養剤をチューブで補給。施設の一部であるトマトの温室栽培を見学した。広大なガラス温室は当初オランダから輸入していたが、研究の後、コストの低い国産のガラス温室に変え、年間で1作2.2t×3作の収穫だそうだ。
敷地内には、子どもたちや家族連れが新種の野菜や珍しい作物を見学しながら楽しめる、公園のようになっている一角もあった。敷居の低い、こんな研究所が日本にもあってよいのではないだろうか。
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