タイトル<野菜の学校>
● 2010年度「野菜の学校」 ●
- 2010年11月授業のレポート -
【当日の庄内野菜とその料理】
※植物分類表記は、系統発生解析による新しいAPG分類体系に基づく

◆庄内のかぶ(藤沢、温海、宝谷) <アブラナ科>

 かぶは根の形が鈴に似ているところから「すずな」とも呼ばれる。アフガニスタン原産のアジア系と、中近東から地中海沿岸原産のヨーロッパ系に分かれる。

 かぶは根と葉で栄養はかなり違う。根は消化酵素アミラーゼを含むものの、多くは水分、葉はカロテン、ビタミンC・K、鉄、カルシウムを豊富に含む緑黄色野菜。

 ◎藤沢かぶ

  • 藤沢かぶは大根に似た細長い形で、太さが2〜3.5cm、長さが10〜13cm。色は上半分が鮮やかな赤色、下半分が白色と美しい。やわらかい肉質、薄皮でパリッとした歯ごたえ、上品な甘さと辛さが身上で、この持ち味は焼き畑栽培ならではとされている。みそと塩で漬け込むアバ漬け、甘酢漬け、たまり漬けに使われる。


 ◎宝谷かぶ

  • 宝谷かぶは青首大根をグンと小ぶりにして、中ほどで少し折れ曲がったような形の細長い白かぶ。焼き畑農法で栽培されてきた宝谷かぶは、積雪が比較的少ない庄内地方でも降雪量の多い山間部にある宝谷地区の冬場の貴重な保存食として大切にされてきた。甘みが増すように雪室で生のまま保管され、漬けもの、葉も一緒に味噌で煮込む「蛸煮」と呼ばれる郷土料理、どんがら汁(寒鱈汁)に使われる。

  • 「宝谷かぶ蕪主制度」…絶滅の危機にある宝谷かぶを作り続ける生産者を支援するために、地元の行政主導で民間有志が一口7,000円で「蕪主」となる制度を立ち上げた。蕪主は収穫された宝谷かぶを配当として受け取れる他、焼き畑作り、種蒔き、収穫作業に参加できる。さらに奥田政行シェフ、長南光さんの手になる宝谷かぶを使った和洋の創作料理を味わう会「蕪主総会」に参加できる。


 ◎温海かぶ

  • 温海かぶは300年以上の歴史をもつ庄内在来野菜の代表格。ヨーロッパ系で、直径約7cm、高さ5〜6cmの丸いかぶ。皮は紫紅色、果肉は白色で、肉質は固い。甘酢漬けに。


 ◎田川かぶ

  • 田川かぶは温海かぶから昭和40年代に選抜されたかぶで、皮が少し厚めだが、紫色が濃く、より扁平なのが特徴。


藤沢かぶ


藤沢かぶの漬物


宝谷かぶ


宝谷・温海・藤沢かぶの
アルケッチァーノ風ピザ


温海かぶ


温海かぶの漬物

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