各地で伝統野菜の掘り起こしが行われている中で、近年、群を抜いて注目されているのが山形県庄内地方です。在来野菜が豊富に残っているのはもちろんですが、復活のために尽力する方々の活動があってこそで、その柱になっているのが江頭宏昌先生と、在来野菜の新しい味の世界を披露しているアル・ケッチァーノ(イタリアンレストラン)の奥田政行氏です。江頭先生は山形在来作物研究会会長もつとめておられ、奥田氏とともに「第1回辻静雄食文化賞」を受賞されています。今回は、庄内の在来野菜全般の貴重なお話をうかがうことができました。
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(なお、今月の在来作物に関しては、後述の作物紹介の欄もご参照ください)
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●東京青果(株)の澤田勇治氏からは、今年は高温で夏かぶの入荷が例年になく少なかったが、ようやく関東エリアからのかぶが入るようになり、量が増えてきたという現状が報告されました。東京市場には、千葉産が最も多く、青森、埼玉、茨城、栃木などから入荷するそうです。
●調理スタッフとして野菜の学校に関わる園芸家の御倉多公子さんは、山形県酒田市の出身。もちろん庄内在来作物の大ファンであり、今回の企画・入荷に関して中心的な役割を果たしました。御倉さんの話で、特に異常気象が続いた今年、流通しない藤沢かぶや宝谷かぶなどの貴重な在来作物をそろえることができたのは、日頃の地元のネットワークあってこそということがわかりました。御倉さん自身も宝谷かぶ、伝九郎柿は初めて味わうものだそうで、今回の体験が大変貴重なものであることを実感できました。
●調理責任者の領家彰子さんからは、食べくらべのテーマであるかぶを生とオーブン焼きで供するに際し、生は横に切るのと縦に切るのとでは味わいが変わることを体験してもらいたいこと、焼く際の火の通し方が難しく、200℃で歯ごたえが残る程度に焼いていることなどの話がありました。
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