◆王滝かぶ <アブラナ科>
「王滝かぶ」は300年前の古文書に、尾張藩へ年貢として納めた記録があり、また元禄年代には俳人小西凡兆が「木曽の酢茎(すんき)に春もくれつつ」と連句を詠んでおり、この酢茎が「王滝かぶ」の原型ではないかといわれている。
山形庄内地方の「温海かぶ」と近縁なのは、戦国時代の末期に越後の上杉景勝が信濃と庄内の領地をもち、城主のお国替えを行った際に、どちらがルーツかわからないが、品種のつながりが生まれたのではと考えられている。
柄は太く、草丈はあまり高くならない。根の形は長円形のものが多く、肉質は緻密でやわらかい。300gほどにもなり、表皮全体が赤紫色。
東京農業大学の岡田早苗教授の研究では、すんきにはアレルギー症状の緩和や感染症の予防に大きく役立つ乳酸菌が生息しているとの報告がある。
「王滝かぶ」は、すんき漬けといって、塩を使わず乳酸菌の働きで作る木曽特産の漬けものの原料。この乳酸菌はロイコノストック菌といっていたるところにあるが、暑い所では他の菌に負けてしまうため、木曽の寒さが保存に適している。
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