タイトル<野菜の学校>
● 2011年度「野菜の学校」 ●
- 2011年6月授業のレポート -


あいちの伝統野菜&
地方野菜の展示

 野菜の学校では、昨期、「日本の伝統野菜・地方野菜」の講座を1年間展開し、大変好評を博しました。今期は引き続き同じテーマで、毎月、昨期に取り上げられなかった一地方の、できるだけその時期の伝統野菜・地方野菜を数種取り上げます。授業は主に、「その地の専門家の講義」、「伝統野菜1種の他、地方産やハイブリッド種などとの食べくらべ」、「それぞれの野菜を生かした料理の試食」、「受講生の意見交換」で構成しています。

開催日:
2011年6月4日(土)
会場:

東京都青果物商業協同組合会議室

テーマ:

あいちの伝統野菜&地方野菜
伝統野菜:早生かりもり、白花千石豆、知多3号たまねぎ
地方野菜:とげなし美茄子、ヤナギマツタケ、エリンギ、つま野菜(大葉、束穂、食用菊、エディブルフラワー)、いちじく、ミニトマト、キャベツ、ブロッコリー、アロエベラ

スタッフ:
スタッフリスト
 今月は愛知の伝統野菜を紹介するには適期とはいえないタイミングで、しかもこのところの低温によって予定の伝統野菜がそろわない事態になりました。食べくらべは伝統のかりもり(うり)をテーマにしましたが、急遽、愛知産の特徴的な野菜を加えて開催しました。その中で、東京及び近郊の私がちが、それらをいかにたくさん、普段に食べているかを再確認することにもなりました。

 また今回は、在京で愛知野菜を愛するシェフの話とご自慢のピザもあり、例月に増して盛りだくさんの内容になりました。
【講義】

 

 ☆   ☆   ☆

●スタッフである管理栄養士の松村真由子さんは岐阜県中津川市の出身なので、名古屋には大変親しみがあるそうです。今回は、知多3号たまねぎに因んで、たまねぎの効用とお薦め料理をアドバイス。「たまねぎは、インドでは解毒や疲労回復などの薬用に使われているほど。たまねぎに含まれる硫化アリルは血液サラサラ効果がありますが、水溶性で、しかも熱に弱い。だから生で食べるのがお薦めで、トマトとたまねぎのスライスのサラダなど、いいですね。また豚肉などビタミンB1が豊富な食材と一緒に摂ると、B1が吸収しやすくなり、その結果代謝がよくなるため、疲労回復効果が高まります。ドレッシングにたまねぎを入れ、ゆでた豚肉をつけて冷やした一品は夏にお薦めです」。

●調理担当の領家彰子さんからは、教室に先立つ5月23日に、当初紹介を予定していた十六ささげの畑を訪問した報告がありました。残念ながら、低温で生育が遅れており、実る様子は見られなかったとのこと。開講当日にも入手することができませんでした。ただ、宮重大根発祥の地でそれを記念する石碑に出会ったり、かりもりの大産地である春日の様子など、貴重な体験がレポートされました。

●東京青果(株)の宮坂守文氏からは、東日本大震災の市場への影響について、野菜の平均価格を見ると風評被害の影響が若干あるようだとのこと。
 愛知の伝統野菜のファーストトマトは糖分と酸味のバランスのよいおいしいトマトだが、皮がやわらかいために流通でいたみやすかったとか。結果、やがて桃太郎に取って代わられたそうです。
 また、うりは地元でもなかなか食べられない傾向で、売る立場からは白うりはきゅうりの10倍の労力がかかると、実感のこもった話がありました。

【食べくらべ】

 「早生かりもり」と、「白うり(千葉産)」、「はぐらうり(千葉産)」を浅漬けで食べくらべました。

 食べくらべは、もちろん、「おいしい・まずい」の表現はタブーです。各自で食べくらべ、「見た目」「食感」「香り」「風味」+「各自が決める指標」の5つの指標それぞれに評価をし、五角形のグラフに記してから、6〜7人のグループ単位で意見交換・発表をします。


早生かりもり、白うり、はぐらうりの浅漬け

主な感想・意見はこちら

【当日の愛知野菜とその料理】
 予定していた伝統野菜がそろわず、当初の品目と違いましたが、主な野菜を紹介しておきます。
早生かりもり 知多3号たまねぎ
白花千石豆(ふじまめ) 十六ささげ
愛知縮緬かぼちゃ エリンギ
ヤナギマツタケ その他の愛知の野菜&料理、加工品など
※植物分類表記は、系統発生解析による新しいAPG分類体系に基づく
※各野菜名をクリックすると詳細ページがご覧いただけます
【その他、全体の感想より】
  • いいともあいち運動、地産地消の取り組みなどを興味深く聞きました。VICOLETTOのピザ、おいしかった! 漬けうりでも、古漬け用のかりもり、浅漬け用のはぐらうりと、違いがよくわかりました。かりもりは皮をむいて薄くスライスしたら食感が生かせるのでは?

  • うりについてなかなか比べるチャンスがないので、真剣に向き合う時間になり、よかった。たくさんの試食でボリュームがありました。

  • うりにもこのような差があることが新鮮でした。うりにこんな食べ方があるのだと知り、サラダが特においしかった。とても楽しく学ばせていただきました。

  • 愛知の人柄や土地柄まで感じられて、おもしろかった。

  • VICOLETTOのシェフ渡邊さんのお話が率直でおもしろかった。若さ、溌剌とした雰囲気が感じられました。

  • 愛知の野菜はスーパーでよく買いますが、かりもりは初めて知り、生で食べてもクセがなく、おいしくてビックリしました。

  • 愛知の野菜を食べられ、食べくらべられる貴重な時間でした。愛知のキャベツなどはよく食べていますが、産地まで詳しく意識することはなかったので、農業が発展している愛知だからこそ、今後も少しでも勉強していきたい。

  • 大変楽しく野菜の勉強ができてよいですね。野菜を知りたいという想いを皆さんから熱く感じます。試食とミーティングで皆さんの意見を聞き、愛知出身として「かりもり保存会」を作らなきゃいけないかな、と思いました。

  • 地域の気候風土や歴史と野菜の関係について、もっと触れてほしかった。伝統野菜、地方野菜はその地で作られるようになった背景や地域の伝統料理との関係があると思うので、そのあたりのテーマを盛り込んでいただければ、さらに興味が沸きます。かりもりは可能性の高い野菜だと思うので、もっとおいしく食べられるはずと感じました。

  • 伝統野菜をどう広め、継続していくのかによりますが、販売するなら物量・物流が問題になる。その点について何らかの情報提供を増やしてもらえるとうれしい。

  • 地場野菜は魅力的ですが、安定供給に課題があると思います。その辺の情報も詳しく聞きたい。
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