本日は多数のご参加をありがとうございます。 鮮度保持といえば予冷しかない現在、真空予冷装置、差圧予冷装置、冷水冷却予冷装置など、いずれにしても多額な設備投資が必要です。50℃を作り出せばよいとなると、これは大きな流通革命の可能性を秘めています。 それ以外にも様々な利用可能性があるようで、それぞれの場で検証しながら発展できればと考えます。私自身も、いろいろな角度から勉強したいと、今日は楽しみにまいりました。今後、また皆さまのご意見も頂戴したいと思います。よろしくお願い致します。
NHKの番組で放送された映像から、以下の内容を抜粋して放映し、まず"50℃洗い"のポイントを参加者で確認しました。
私は平山先生に、2005年、早稲田大学で出会いました。当時、先生は100℃ではない低温によるスチーミングを研究中でした。低温スチーミングをほどこしたにんじんをいただいた時、ものすごく甘く、ジャムのようなペーストに、「何て、おいしいんだろう!」と感激しました。それから、先生のお宅に伺うようになったのです。
私は山口県の出身で、両親が割烹を営んでいた関係でこの世界に入ったため、調理を正式に学んでいません。それが幸いしたようで、調理に対して先入観がなく、何でもやってみようという姿勢でいます。 50℃で洗うと、確かに、野菜、肉、魚介がおいしくなります。とはいえ、今までの常識と合わないことがいっぱいなので、生徒の質問に答えられないことも多く、いつも平山先生に訊いていました。 洗わないのが常識のきのこも洗い、レタスなどの葉物、もやし、いちごなど、1つずつ試した結果、今日があります。 50℃洗いは、プロのフレンチ、中華でも、世界中の誰もがやっていません。私はノーベル賞くらいの大発見だと思います。 鮮度よく、日持ちがよくなり、野菜のアクやエグミ・苦みなど、食べないほうがいい成分は除かれ、食べたほうがいい成分だけが残って、野菜や果物本来の味がするのです。糖度が上がっているわけではないのに、甘く、おいしく感じるのは、そのせいかと思います。
"50℃洗い"はまだまだ発展途上で、これからの発見があるだろうと楽しみです。私自身、本を書くたびに発見があり、進化中です。 ぜひ、まずは調理に取り入れていただきたい。特に寒い季節、実家では例えばおせちの時季、材料を冷たい流水で洗うのはイヤな思い出でした。これからは堂々と洗える。農家や水産業者、東北など寒い地方の方には特に伝えたいですね。 私はまた、これまで料理をおいしくするのは、「愛情、勘、経験」などと聞かされてきましたが、「料理は科学だ」とも教えていただきました。こうした科学的な分析や情報がもっと料理分野にも広がることを願ってやみません。