11月および12月収穫のニンジン試料AおよびBの愛紅、キング紅芯、ひとみ五寸、紅あかり、紅楽の匂い特性について向陽2号と比較した。向陽2号の各匂い特性の強さをベースラインとしてレーダーチャートの0のラインで表し、それよりも強いもの
を+、弱いものを−で表し、図2にまとめて示した。愛紅、キング紅芯ともに向陽2号よりもパセリ様の匂いが強いと評価され、QDAの結果とよく対応した。また、愛紅とキング紅芯では愛紅の方が強く、ニンジン臭いと評価された。ここで用いたキング紅芯は写真で示されるように、品種、産地は同じだが8月収穫の試料@に比べると大きさはかなり小さく、芯は黄色く、外観がかなり異なった試料であった。ニンジン臭さが強いとされる品種であるが、8月の試料に比べ匂いはかなり弱く感じられた。しかし、官能評価ではAの試料も向陽2号より全体的に匂いが強いことが示され、品種的にキング紅芯はニンジン臭い匂いが強いことが確認された。
ひとみ5寸、紅あかり、紅楽は、向陽2 号に比べニンジン臭さは弱い傾向であった。全体的に匂いは強くないが、それぞれ微妙に匂い特性が異なり、それぞれ特徴的な匂いをもっていることが示された。紅あかりは、砂糖を思わせる柿のような甘い匂いが感じられ、紅楽はスパイシーな(朝鮮ニンジンのような)少し刺激のある匂いがあり、ひとみ五寸はニンジン臭さが弱い上に、他の匂い特性も弱いため、青い匂いが前に出て、西瓜のような匂いが感じられると評価された。
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