ニンジンの匂いに関する研究は外国で多く行われており、匂い成分として表1にしめしたようなモノテルペンやセスキテルペン化合物が主として報告されている。また、これらテルペン類の含有量は品種により異なることが知られ、また、テルペン類が増加すると甘味を抑える要因となっているのではないかという報告もある。そこで、本研究ではテルペン類に着目し、食べたときの風味が異なる試料@―Bに示した7品種について匂い成分におけるテルペン類の含有量組成を比較した。そのうちの3種、キング紅芯、愛紅、向陽2号については、収穫時期や産地が異なる試料について同条件で分析し、比較した。
各ニンジンのヘッドスペースガス中の揮発性成分を分析した結果、検出されたおもな成分は、モノテルペンおよびセスキテルペン炭化水素で、従来の研究報告とよく対応していた。匂いに特徴がある主な14種のテルペン化合物の匂い特性を表1にまとめて示した。
また、各ニンジン10gのヘッドスペースガスに揮発された14種のテルペン類の絶
対量を測定し、その組成を図3 の棒グラフにまとめた。No. 1−8 がモノテルペン、9
−14 がセスキテルペン化合物である。
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