第2章 野菜のおいしさに関する検討結果
U キャベツの官能評価と機器分析
1 キャベツの嗜好型官能評価
 キャベツは生食、煮物、炒め物、漬け物など応用範囲が広い代表的な野菜で年間を通じて食されている。味も香りも際立って強いものでないが、ロールキャベツ、シチュー、ラタトウユなど煮て食する場合はだしもでて、その微妙な味がおいしさを支配する。そこで3種類のキャベツについて、特にミネラルやアミノ酸などの含有量とおいしさの関係を見るために以下の官能評価を行った。成分については日本食品分析センターに依頼した(分析の項参照)。
<試料>
A: 春系305 号
B: あまだま
C: 冬系C-35

図1.キャベツの外観

図2.煮物の外観
 試料は3種で、B は通常のキャベツに比べて甘味の強いものであった。特農産物協会で評価した4種のキャベツのグルタミン酸含量は18−32mg%の差があったので1)、ミネラルやアミノ酸成分について差のあるものを期待したが、分析の結果は大差のないものであった。図1に示すように巻きの状態も全て充実したもので、外観的にも大差はなかった。

 産地直送品について、外皮1枚を除き、芯を除き、ザク切りにしたもの1.5kg に対して水1.5kg、食塩20g を加えて加熱し、煮立ったら鰹削り節(にんべん)10g を加えて10 分煮たものを評価した。

 評価はA とB、A とC の順に続けて行った。試食順序はそれぞれでランダムになるように配慮した。評価はキャベツを主に行ったが、煮汁についても評価した。評価項目は、キャベツらしい風味の強さ、風味の好ましさ、口中に広がるキャベツらしい風味(キャベツ臭さ)の強さ、キャベツの風味の好ましさ、食感(歯ざわり・噛み心地・舌触り)の好ましさ、キャベツとしての甘味の強さ、キャベツの甘味の好ましさ、うま味(こくなどを含む深みのある味)の強さ、滋養がありそうな味(滋味)、あなたにとってのキャベツのおいしさ、の各項目について+3からー3までの7 段階尺度で評価し、さらに、キャベツとして品質のよいと思う方を選んでもらい理由を記入してもらった。

 さらに予めコップに注いだ煮汁について、甘味の強さ、出汁がでている感じ、味の密度=味のしっかり感(しっかりしている−うすっぺらい)について7 段階尺度で答えてもらった。

 パネルは野菜と文化フォーラムの講演会や野菜の勉強会の参加者を中心に依頼し、ボランティアで参加を快諾戴いた20代から70代前半の男女24名で過半数が50才以上である。

<実施時期と場所>

 平成20年12月18日  築地市場の調理室付き会議室



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