第2章 野菜のおいしさに関する検討結果
U キャベツの官能評価と機器分析
1 キャベツの嗜好型官能評価
<結果>
 最初にお詫びをしなければならないのはAとBの比較において、加水量に誤りがあったことである。Aの方が多く加水してしまったために、Bの方が12%だけ仕上がり重量が多くなり、成分が薄まったことになる。従ってBには不利な比較となったが、Bというより、Bより若干成分が希釈された試料を用いたとして結果を解釈する。

 図3にAとB(Bとすべきであるが以下実際に調理した試料をBとする)の平均値を示す。

 生の分析値ではグルタミン酸はAが14、Bが19mg%、グルタミン、アスパラギンを除く遊離のアミノ酸総量はAが144、Bが206mg%でいずれもBの方が若干多く、またショ糖換算注1)の糖はAが3.9、Bが4.7%で、明らかにBの方が多かった。

注1)果糖、ブドウ糖、ショ糖の甘味度をそれぞれ1.2、0.6、1として加算した。


図3. キャベツA とB の評価の平均値(n=24)

 煮た葉でも煮汁でも希釈率にハンディがあってもBの甘味は明らかに強かった。しかし、甘さの好ましさについては差がつかなかった。風味やうま味については、分析値からして本来ならば差がつかないか、あるいはBの方が強かったと思われるが、希釈されたので低くなったことと、甘味はうま味をマスクすることが考えられる。

 表1には選択の理由としてあげられたコメントを示す。食感についてもあげられているが、加水量が違ったので公平な比較にはならない。

 問題は、甘味を強化したキャベツがどう評価されるかである。この結果では好む人 と好まない人が半ばして存在しているといえる。コメントからみても甘味の好みについては意見が分かれることは確かである。

表1.選択理由としてあげられたコメント



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