第2章 野菜のおいしさに関する検討結果
V ダイコンの官能評価と機器分析
1 ダイコンの嗜好型官能評価
<結果>
3.AとD(大蔵)の比較
 評価の平均値を図6 に示す。


図6. ダイコンA とD の評価の平均値(n=24)

 Dはグルタミン酸もAの23に対して29mg%で4種の中で最も多く、遊離アミノ酸総量も、カルシウム、カリウムも多い。ただし、糖はショ糖換算で2.1%、Aの2.5%より少なかった。醤油と酒に由来するグルタミン酸濃度を8mg%としても、グルタミン酸の濃度差は20%程度あるので、うま味の強さの識別は不可能ではないが、さらにアミノ酸やミネラルも多いので、Dのうま味や滋味が高く感じられたのは偶然とはいえない。甘味も弱く感じられているので評価者の識別力は高いといえる。

 なお、鰹だし汁中のイノシン酸の濃度を1.4mg%(0.0014%)とするならば、グルタミン酸の濃度によってy値は以下の用に推定される。

グルタミン酸 MSG 換算 y値
0.005%
0.010%
0.015%
0.020%
0.025%
0.0064%
0.0127%
0.0191%
0.0254%
0.0318%
0.022%
0.055%
0.067%
0.089%
0.11%
 MSG の検知閾は0.012、認知閾は0.03%程度であるから、グルタミン酸として少なくとも0.010%存在し、鰹だしを用いればうま味は識別できる可能性がある。この実験では同量の水を添加しているので加水量で2倍に希釈されたとしても素材に0.02%グルタミン酸が存在すればその可能性がある。しかし食感や他の味の影響などあるので一概にはいえない。

 コメントを表3に示すが、D は味が複雑でうま味、コクがあることが読み取れる。Dの食感はコメントでは明らかではないが、図6ではやや低く評価されているのは鬆が入っていたことの影響と思われる。全体としてDは最も高く評価されている。

表3.選択理由として挙げられたコメント



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