評価者はダイコンの嗜好度が高く、おでんやみそ汁など和風の食べ方を好んでいる。また、辛みのあるものを好んでいるが、甘味については好むか好まないかにはっきり分かれていることが分かる。従ってダイコンを甘くすれば、喜ぶ人と失望する人がいることを考慮すべきである。
甘味はうま味をマスクする。しかもニンジンやキャベツでも示したように出汁やうま味への気づきの感度を鈍くする。糖の摂取量も増えることを考えると、安易に甘味を増すことへの責任も考える必要がある。実際の評価ではD
は甘味は少なかったが、うま味や滋味があることによって高く評価されたことからも、糖分を増すことだけでなく、より微妙な味を大切にすべきである。ここではアミノ酸やミネラルしか分析していないが、これらが少ない方が他の有効成分が多いとは考えにくい。昔ながらの大蔵のようなダイコンを常食にした場合に比べて、僅かずつであっても重要な成分が減少していくと、それが積み重なって気づかないうちに、重要な成分が稀薄になる危険がある。そうかといって、全ての成分を増せば味が強すぎて食せない。そのなかで何が大切かを考えなければならない。
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