第2章 野菜のおいしさに関する検討結果
W 官能評価によるナスの調理適性
1 調理特性についての官能評価結果
 ナスは形、大きさ、肉質の硬さ、調理方法による味の違いなど、品種が様々で地方性も豊かな上に品種改良も盛んである。そこで異なる4品種のナスを取り上げ、その品種の違いと調理適性について官能評価を行って比較した。
(1)<試料>
A:
長岡巾着なす。丸ナス系統のもの。1個が約300g前後と大きく、中には700gを越えるものもある。生は果肉が硬くしっかりしている。
B:
庄屋大長。長さが20〜25pぐらいで、1個150〜170gあり、果肉は柔らかい。
C:
千両2号。各地で栽培される一般的なもの。1個100g前後。果肉はあくが少なく柔らかい。
D:
サラダ紫。水ナスタイプ、千両2号に比べやや大きく1個120g前後。皮が柔らかい。
(2)<調理方法および試料調製>
 調理方法は、ナス本来の味、テクスチャーなどを比較検討することを目的としたため、調味料を加えずに「生」、「蒸す」、「揚げる」の3調理方法で行った。

 試料はいずれの品種もナスの長短を問わず太さが均一な中央部分を使用し、調製は以下に従った。
  • 「生」
      各品種のナスは5〜8mm厚さの輪切りにし、長岡なすのみ各1切れを4等分する。そのまま試料に供した。
  • 「蒸す」
      各品種のナスは1.5cm厚さの輪切りにし、長岡なすのみ各1切れを4等分する。品種ごとにザルに重ならないように並べ、沸騰させた蒸し器で長岡なす:10分間、庄屋大長3〜5分間、千両2号:3分間、サラダ紫:3分間加熱し、室温に置き試料に供した。
  • 「揚げる」
      各品種のナスは1.5cm厚さの輪切りにし、長岡なすのみ各1切れを4等分した。次いで、ナス切り身の水分を除き、小麦粉をうすくつけ、180℃の油で、長岡なす3分間、庄屋大長、千両2号およびサラダ紫を1分間加熱した。
(3)<官能評価>
  • パネル
      女子栄養大学短期大学部調理系職員、年齢20〜60歳代の女性10名。
  • 評価項目
      官能評価票を図1に示した。項目は外観、香り、味、テクスチャー及び全体の総合評価を主項目とし、それぞれに小項目を設け、4あるいは7段階の評価を行った。
  • 供試方法
      試料を白皿にもり、各料理ともに室温(25℃±2℃)に放置した温度で供し、試食順序は順序効果を考慮した。
(4)<実験日及び実験場所>
平成20年8月7日
女子栄養大学短期大学部・官能検査室


>> 野菜のおいしさ検討委員会 平成20年度報告書 目次へ