第3章 官能評価に用いたタマネギの機器分析結果
野菜茶業研究所 堀江 秀樹
2 物性評価

(1) 評価用試料
 スーパー北もみじの慣行栽培Aと有機栽培B(これらの試料についてはクリームコンポートの官能評価を実施)。

(2) 評価項目
 タマネギの物性評価法として定まった方法はない。本検討では球状のプランジャーでの貫入試験とした。

  1. 重量:皮をむかずそのまま測定。
  2. 鱗葉の硬さ:鱗葉の赤道部について内側から1/4インチ球状プランジャーを貫入したときの荷重の最大値。
  3. 球の硬さ:球の赤道部に外側から1/4インチ球状プランジャーを貫入したときの荷重の最大値。

(3) 結果と考察

 試料Bの方が軽く、これは生育不良によるものと考えられる。

 鱗葉の硬さについてはプランジャーの貫入法で評価した結果は、試料Aが硬かった。官能評価においても、試料AとBを比べたとき、Aの方がシャキッとしており、しなやかでないと評価され、物性評価と官能評価の傾向は一致している。ただし、今回の試験では試料数が少ないため、用いた方法が官能評価結果に一致する有効な方法であるとは結論できない。官能評価の場合は辛味によって反復試験は困難であるが、物性を評価する場合は疲労がないため、今後は、官能評価を理化学的な試験で置き換える手法の開発検討が必要である。

 試料Aは鱗葉については試料Bよりも硬いものの、球全体の硬さは試料Bに劣った。球の硬さのみでは、食感は推定できないものと考えられる。


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