第4章 ニンジンの官能評価と機器評価
野菜茶業研究所 堀江 秀樹
1 目的
 平成19年度、3種類のニンジンについて味や食感についてPOPをつけて試験販売した。生で試食した結果、最も多く購入されたニンジンは「ひとみ五寸」であり、アンケート調査の結果はその甘味が購入のポイントであった。ただし、事前に調査した結果では、糖含量については3種類の間で差はなく、硬さの官能評価では「ひとみ五寸」が「軟らかい」と表されている。平成20年度には社会人を対象としてニンジンの官能評価を行った。その結果、「ひとみ五寸」については、糖含量が他と比べて高くないにもかかわらず、生食では「食感が好ましく」、「甘い」とされた。さらに、平成20年度にニオイや香気成分を評価した結果からも、「ひとみ五寸」はニオイの弱いニンジンとされる。これらの結果を総合して、「ひとみ五寸」は、肉質が軟らかで、ニンジン臭が少なく、甘味を感じやすい特徴的な品種と判断される。これらの結果を受けて、サラダなど生食利用への展開を考えた場合には、「ひとみ五寸」の持つ特徴が有効と考えられる。

 生食にも適する品種のモデルとして、「ひとみ五寸」が向くことを確認するため、野菜に関心のある方をパネルとして、他の2品種との間で官能により比較した。


2 方法
(1) 官能評価
試験日及び場所:2009年5月28日、女子栄養大学
パネル:野菜と文化のフォーラム会員40名
材料:皮をむいてスティック状に調製
試料A 向陽2号   千葉県富里
試料B 愛紅     千葉県富里
試料C ひとみ五寸  群馬県伊勢崎(種苗会社農場)
評価: 3種類を自由に食し、別紙に示した用紙に記入。煮物にした場合等を想定せず生で食べた時のおいしさの評価を依頼。

(2) 機器による評価
 ニンジンを図1に示すように切り分け、各測定に供した。
硬さ:ニンジンの切り口に垂直に直径3mmの円筒型プランジャーを2.5mm/sで突き刺した。
水分:90℃で48時間乾燥し、減少量を水分とした。
糖含量:キャピラリー電気泳動法により測定した。


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