官能評価方法として定量的記述分析法を用いた。評価用語についてパネルを習熟させた後、評価させる方法で、訓練により専門パネルとして少人数で評価できるため、研究室レベルでも評価が行えることにより採用した。また、評価試料の特性を表す言葉を用いて評価し、特性を数値化し、視覚化できる利点がある。
(試料と方法)
2009年5月千葉県産「向陽2号」ニンジンを試料とした。ニンジンの上下部分を除き、皮をむいた後、生試料の酸化酵素活性を抑えるため10%のNaClを添加し、フードプロセッサーで粉砕したもの10gを使用した。加熱試料は、同様に上下部分を除き、皮をむいたのち、2cmの輪切りにしたものを15分間または30分間蒸し器で加熱した。蒸し加熱時間は、庫内温度92℃に保ち、経時的に試料の内部温度と硬度を温度センサーおよびソフトフルーツ硬度計を用いて測定した。試料内部温度は、加熱後15分で88℃に達し、その後88−89℃を保っていた。中心部の硬度は、図1に示したように15分と30分で顕著な硬度変化が見られたため、加熱時間15分および30分のニンジン試料を官能評価対象とした。生と同様に10%のNaClを添加し、フードプロセッサーで粉砕したもの10gを試料とした。各試料を50ml容積のスクリューキャップ付き茶褐色バイアル瓶にいれ、室温で提示した。官能評価は21−24歳の女性パネル10人により予備実験により15個の評価用語を決定し、10cmのラインスケールを用いた定量的記述分析法で評価した。
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